台湾パネルメーカーの2012年11月の大型パネルの出荷量は、主要4社全てで対前月比(MOM)で増加。一方、中小型パネルの出荷量は、台湾HannStar Display社を除く3社がMOMで減少となった。以下、その詳細をメーカー別に見ていく。

AUOの大型パネル出荷量はMOMで8%増、1~11月累計でYOYで7%増

 AUOの2012年11月の大型パネル出荷数量は、1070万枚と対前年比(YOY)で16.9%増、MOMで8.0%増。実需ベースでの生産を続けている同社も、実需回復に伴い稼働率も緩やかな改善基調が続き、稼働率は85%を超えている。同社のガラス基板投入量は、2012年第2四半期(2Q)の対前四半期比(QOQ)で14%増に続き、3QもQOQで10%程度増と2桁の伸び。4QもQOQで1桁前半増と伸びが予想される。ただし、同年12月11日に発生した台中科学園区における電圧低下の生産への影響が懸念される。同年12月は対計画比1割弱の投入減となる可能性があると見る。

 同社の生産状況については、テレビ(TV)向けパネルの継続的な需要回復により、第8世代(G8)ラインやG7.5ラインで高稼働率を維持。G7.5ラインは24、42、50インチのモニター/TV向けで需要が堅調な機種や新機種が多く、稼働率は相対的に高めである。週によって差はあるものの、2012年10月以降は9割を超える稼働率で推移しており、同年12月には13万枚とほぼ実質的な上限量まで生産が実施されると見られる。G8ラインに関しては、46、55インチなど大型サイズの増産を背景に8割超の稼働率を維持。同ラインについては、中国勢が大増産している32インチの生産を抑制することもあり、生産能力にはまだ若干の余裕がある。現在需給が逼迫している42インチの供給力増加のために、他サイズとの共取り生産がまもなく始まる。

 一方、ノートブックPC(NB)向けやモニター向けのパネルの不振により、厳しい事業環境を余儀なくされているG5/G6ラインは依然、相対的に厳しい。ただし、NB向けの不振をタブレット向けが埋める形で改善基調にはあり、稼働率も8割超に回復してきた。G5ラインについては、工場によって稼働状況に格差がある点が特徴である。例えば、TN(Twisted Nematic)方式のパネルを主に生産する「L5A」ラインや、タッチセンサー向けパネルを手掛ける「L5B」ライン(生産能力は約5万枚/月)はほぼフル稼働の状態。一方、「iPad Mini」向けパネルの量産を始めて4カ月が経過したが依然として歩留まりの改善で苦しんでいる「L5D」ラインでは、当該製品向けのラインを停止し、再調整を行っていることから、稼働率は6割程度にまで低下している。同じくIPS(In Panel Switching)モードのパネル生産を行う「L5C」ラインも相対的に低稼働率を余儀なくされている。

 AUOの2012年11月の売上高は326億1800万新台湾(NT)ドル(YOYで13.4%増、MOMで2.3%増)と増収。同連結ベースの売上高も339億100万NTドル(YOYで10.9%増、MOMで1.4%増)と増収だった。ただし、同年1~11月累計の連結売上高はYOYで2%減となった。

 同社の中小型パネルの2012年11月の出荷数量は1320万枚と、YOYで3.8%減、MOMで5.7%減、同1~11月累計出荷量はYOYで16%減だった。