われわれのパソコン(PC)およびIT機器の出荷調査(「季刊 デスクトップモニター出荷調査レポート」「季刊 ノートPC/モバイルPC出荷調査レポート」)によれば、2012年のデスクトップ・モニター出荷は1億5500万台(前年比9%減)、ノート・パソコンは2億1700万台(同1%増。ミニノート・パソコンの1600万台、超薄型ノート・パソコンの100万台を含む)、一体型パソコンは1500万台(同6%増)になると見ている。その一方で、タブレット端末市場は堅調に拡大しており、2012年の出荷量は1億4800万台(同89%増)と急増する見込みである(図1。2012年第4四半期の実績については集計中)。

PCおよびIT機器の出荷台数と年間成長率
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 ここに来てデスクトップ・パソコン(+モニター)やノート・パソコンといった従来型パソコン市場の成熟化に拍車がかかっているようだ。そもそもパソコン市場は「手作業を電子化する、効率化する」といったコンセプトの基に成長してきた。ところが、米Apple社の「iPad」や「iPhone」の出現と出荷の伸びに代表されるように、新しいタイプの情報端末の高性能化、高機能化により、作業ツールとしてのPC/IT機器の選択肢が広がり、作業スタイルの多様化が進んだ。

 iPadなどのタブレット端末の市場は、セット・メーカーの出荷計画や液晶パネル・メーカーの生産計画を見る限り、われわれの予測より速いスピードで成長している。画面サイズ別に見ると、特に7~8型のタブレット端末の出荷が勢いを増している。また、価格帯別に見ると、300米ドル以下の安価なタブレット端末市場が形成されつつある。その結果「デスクトップ・パソコン(+モニター)やノート・パソコンでしかできない作業」が少なくなってきていると見ることができる。特に個人向けの市場では、この傾向がさらに顕著になっている。