ネット企業も元気か?

 「インターネット・ネイティブ」の新しい大手企業が興味深い。Google社は、Androidに関連する特許紛争に巻き込まれる状態が続いて、無料で提供するAndroidの戦略は同社が予測したこと以外にお金が掛かっている。だが、Google社のインターネット広告は強く、今のところ安定している。

 米Yahoo!社が旧Google社の社員Marissa Mayer氏をCEOとして採用したことが、今のシリコンバレーの関心事だ。だが、業界にMayer氏が成果を見せるのはこれからだ。米Facebook社は、株式公開当初(2012年5月17日)の株価38米ドルから、しばらくの間に値下がりを続け、2012年12月26日には26.51米ドルになっている。シリコンバレーでは、ウォール街はFacebook社が保有する豊富な消費者データの市場価値を理解していないと思っている人が多い。だがウォール街が、どれくらいの忍耐力があるのは疑問視されている。

 特に困っているのはオンライン・ゲームを手掛けている米Zynga社だろう。同社は2011年12月16日に10米ドルで株を公開したが、2012年12月26日には2.39米ドルに落ちた。これは、2012年10月24日に2億米ドルの自己株取得を発表した後に起こった。Zynga社の幹部の多くが交代し、大半の売上をFacebookプラットフォーム対応のゲームに依存しているといった理由で、米Dartmouth College、Tuck School of Business教授のSydney Finkelstein氏が作成した2012年の最悪CEOのリストにZynga社のCEO、Mark Pincus氏が第4位にランクインした(記事)。ゲーム業界の関係者は、Zynga社は豊富な資産を持っているので、まだまだ市場に力があると指摘する。しかし、シリコンバレーで積極的に活動している日系企業のDeNAやグリーを含めて、オンライン・ゲーム分野に多数の競争相手がいる。Zynga社は、オンライン・ギャンブル市場に参加するというニュースが流れているので、この市場でさらに大きな売上を取得する期待がある。

 米国や欧州の国々の予算対策に関する政治的・経済的な不安定のニュースが流れている。シリコンバレーは、慎重な楽観論を展開しながら2013年に入ったと、筆者は見ている。

■訂正履歴
小見出し「交通渋滞が景気のバロメーター」の第2段落で「住宅平均価格は8万3185米ドル」としていましたが,「住宅平均価格は88万3185米ドル」の誤りです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2013/01/16 15:40]