クルマ 自動車の最新技術を追う
 

電機産業の二の舞は避けられるか

鶴原 吉郎=日経Automotive Technology編集長
2013/01/01 00:00
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 皆様、あけましておめでとうございます。昨年は、『日経Automotive Technology』および『Tech-On!』をご愛読くださり、ありがとうございました。

 東日本大震災、タイの洪水、円高の進行などに見舞われた2011年の苦しい状況に比べれば、2012年はエコカー補助金の影響で国内の自動車生産は大きく伸び、また安倍政権の誕生で、為替相場も円安の方向に振れつつあります。エコカー補助金切れに伴う反動減、欧州の信用不安、中国との関係悪化など、まだまだ世界の経済・政治状況は予断を許さない状況ではありますが、日本の自動車産業をめぐる環境は、2011年の暮れに比べれば、格段に明るさを増しているように見えます。

 しかし製造業全般を見渡すと、シャープ、パナソニック、ソニーといった日本を代表する電機メーカーが相次いで巨額の赤字決算を発表し、復活への道筋もはっきり見えていません。こうした電機業界の苦境を、自動車産業は対岸の火事と受け止めているわけにはいかないと思います。それは、クルマの技術で確実にエレクトロニクス化が進んでいるからです。

 例えば富士重工業は世界で初めてステレオカメラによる車線逸脱警報、車間距離警報などの運転支援機能を実現しました。この技術を発展させてプリクラッシュブレーキや、全車速で先行車を追従できる機能の付いたクルーズコントロールなどの機能を実現した「EyeSight」は、「ぶつからない?クルマ」というキャッチフレーズで消費者にも浸透し、最新の「フォレスター」では8割以上の購入者が装着する人気装備となっています。またミリ波レーダを使ったプリクラッシュブレーキは、2003年にホンダが世界に先駆けて実用化しており、こうしたドライバー支援技術の実用化で、日本の完成車メーカーは世界をリードする位置にいます。

 ところが、こうした技術の実用化では先行しながら、普及段階に入った現在、世界の完成車メーカーに供給しているのはドイツContinental社などの欧米メーカーが中心です。いわば技術では勝って、ビジネスでは負けているという構図です。液晶テレビの実用化では先行しながら、世界での普及期に韓国メーカーに圧倒された、電機業界での「負けパターン」に、自動車業界も陥ってはいないでしょうか。

 民生用途のLiイオン2次電池も、かつては日本メーカーが大きなシェアを持っていましたが、現在では韓国メーカーの後塵を拝する状況です。続く電気自動車(EV)向け電池でも、韓国メーカーは巨大投資をしています。現在のところ、EVの需要が想定ほど盛り上がっていないために、こうした投資は“空振り”に終わっていますが、普及期に入ると、そのコスト競争力を武器にシェア獲得に動くだろうことは想像に難くありません。

 このように、電機業界の歴史を振り返ると、技術競争では勝っても、投資競争で負けることが重なっています。合従連衡を繰り返して巨大化してきた欧米の自動車部品メーカーに比べて、国内の自動車部品メーカーは、相対的に規模が小さく、生産拠点の世界展開、システムまで含めた先進技術の研究開発、そして投資余力で後れをとっているのが現状です。それでなくても円高で傷めつけられている部品メーカー群をどう立て直し、強化していくのか――。

 年初から景気の悪い話になってしまいましたが、先行きに明るさの見えてきた今だからこそ、足元をしっかりと固めていくべきではないでしょうか。弊誌は2013年を、これからの自動車産業はどうあるべきかを改めて考える年にしたいと思っています。そのための様々な企画を今練っているところです。

 2013年が、皆様の飛躍と発展の年になりますように。弊誌もそのお手伝いができるように、全力で取り組んでいきます。

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