台湾電子業界の上場企業の各製品分野における代表的企業41社の11月売上高は、対前年同期比(YOY)+4.5%、対前月比(MOM)+8.8%。ドイツ証券では11月売上高は全体でMOM-9%±5ポイントを想定しており、実績は想定レンジ上限を大幅に上回った。ただし、Hon Hai Precision Industry社の増収への寄与度が非常に高い点に留意すべきである。同社の11月売上高は3517億3300万NTドル(YOY+15%、MOM+28%)とMOM3割近い増収となって過去最高を更新した。Hon Hai Precision Industry社を除いた40社での11月売上高はYOY-1.4%、MOM-1.2%とMOM減収となる。

 11月は、9月、10月に続き「iPhone 5」「iPad mini」などApple関連の部品やアセンブリ企業が好調。携帯電話機がリバウンド、太陽電池も続伸となったが、Siファウンドリは減収、ノートPCや液晶も減収と、全体の数字は強めだったが、個別分野では特に目を見張るものはなかった。

生産量を高めた矢先に調整入り


 9月21日に発売された「iPhone 5」は、注目点が供給側のボトルネックから需要面に移ってきた。先月の当レポ-トで「4Q(第4四半期)までの生産が想定を下回っているにもかかわらず、2013年1Q生産がQOQ減少となる兆しが見え始めている。」と1Qの生産調整リスクを指摘したが、それが現実になりそうである。それもタイミングの悪いことに、供給側の最大のボトルネックであった液晶パネルの数量が、ある意味、歩留まりを犠牲に力づくで所要量に追い付いてきた矢先の調整入りである。年末商戦における販売状況、2013年1Qが想定される中国市場での発売タイミングなど、変動要因が多いものの、年明けを待たずに部品と部材の需要が下方修正されることは、少なくともバリュ-・チェ-ンにとってポジティブとは言い難い状況である。