無線技術の将来動向を解説する連載の第3回は、比較的近距離の無線接続に向けた無線PAN技術に焦点を当てる。

スマホのBluetooth

 無線PAN技術は、さまざまな用途に向けて進化しつつある。本稿では、特に最近注目されている三つの用途に絞り、その動向を解説する。三つとは、1)スマートフォン周辺、2)医療・ヘルスケア、3)家庭のエネルギー管理に向けた「HAN(home area network)」である。

 まず、1)のスマートフォン周辺とは、スマートフォンやその周辺機器などが用いる無線PAN技術である。この分野で圧倒的な浸透度を誇るのが、近距離無線規格「Bluetooth」である。主要メーカーのスマートフォン端末のほとんどが、Bluetoothの通信機能を備えており、無線ヘッドセットやヘッドホンなどとの接続に利用している。

 このBluetoothの注目点は、最新仕様「Version 4. 0」に盛り込まれている低消費電力モード「BluetoothLow Energy(BLE)」である。BluetoothLE、またはBLEとも呼ばれる。消費電力が従来のBluetoothに比較して1/5~1/10と低いため、コイン電池駆動の小型端末で利用できる。