2012年11月に行われた富士通セミコンダクターとARMの共同会見 Tech-On!が撮影。スライドは富士通のデータ。
2012年11月に行われた富士通セミコンダクターとARMの共同会見 Tech-On!が撮影。スライドは富士通のデータ。
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 英ARM社のプロセサ・コアをベースにしたマイクロコントローラ(マイコン、MCU)の勢いが止まらない。ARMの発表によれば、マイコン市場全体に占めるARMコア・マイコンの比率は2011年に15%に達していた。2012年にはその比率がさらに上昇したと見られる。

 2012年は半導体業界にとって厳しい年だ。年頭から9月末までの半導体の世界売上高は、前年の同じ時期と比べて4.7%の減少である(Tech-On!関連記事1)。半導体メーカー最大手の米Intel社でさえ、年頭から9月末までの売上高は399億米ドルで前年同期比で1%の減少となった。同じ期間のARMの売上高は6億5030万米ドルで、Intelの1.5%の規模に過ぎないが、ARMの売上高の前年同期比は14%増と、この状況下で2ケタ成長を果たしている。ARMの成長の大きなけん引役の一つが、ARMコア・マイコンである。同社によれば、2012年第3四半期(7~9月)におけるARMコア・マイコンの出荷個数は、対前年同期比で35%も増加した。

InfineonがARMチームに

 実際、大手半導体メーカーがARMコア・マイコン事業に力を入れるという主旨の発表が2012年に相次いだ。例えば、1月に、独Infineon Technologies社が、Cortex-M4をベースにした「XMC4000ファミリ」を発表した(Tech-On!関連記事2)。欧州ではオランダNXP Semiconductors社や伊仏合弁STMicroelectronics社がARMコア・マイコンの先導役だったが、積極的でなかったInfineonもARMチームの仲間入りを果たした。

 欧州よりも動きが大きかったのが日本である。日本の半導体メーカーでいち早くARMコア・マイコンを発表したのは東芝だが、ここのところ目立つのは富士通セミコンダクターだ。富士通セミコンは昨年(2011年)から「Cortex-M3をベースにしたマイコン「FM3ファミリ」の製品数を2012年度中に500にする」と宣言していたが、2012年11月に開いた報道機関向け発表会では、その数を570に上方修正した(Tech-On!関連記事3)。

 さらに同社は、Cortex-M4をベースにした「FM4ファミリ」と、Cortex-M0+コアをベースにした「FM0+ファミリ」を新たに市場投入することも発表した。どちらも2013年7月からサンプル出荷を始める。三つのファミリを合わせて、ARMコア・マイコンの製品数は700を超える予定である。