横軸の2フェーズ:源流プロセス、商品化/製番化プロセス

 「源流プロセス」と、「商品化プロセス」/「製番化プロセス」の2つのフェーズに分けて整理する。この区分ができるかどうかは、むろん業態によって異なる。明確に区分できるかどうかはともかくとして、これからの製造業(もの・ことづくり企業)はこのような区分のある仕組みを目指すべきである。

◆源流プロセス
 本コラムでは「川上機能の上流」としてきたが、量産型、個別受注型のベース(マスター)となる機種を開発設計・確立するフェーズである。ここでの作り込みの程度が、これをベースとした製品群の汎用性や堅牢性、継続性、利益構造などに多大な影響を与える。昨今、盛んにその重要性が言われているモジュラー設計の視点においては、複数の製品群にまたがって、顧客・市場の要求に対応できるモジュラー戦略を決め、それを製品モデル、モジュラー・アーキテクチャとして体系化するフェーズでもある。

 の上部にイメージを示したが、この源流プロセスに全社戦略や事業戦略を落とし込むことが肝要だ。また、この源流プロセスは、混沌とした状態から、汎用性・継続性などを有したベース機種を確立していく高度な創造プロセスである。通常は数回の設計~試作~検証の繰り返しを経て収斂させていくべきものだ。従って、その過程で捨てられるデータにこそ、貴重なノウハウが埋め込まれていることを考慮すべきだろう。

◆商品化プロセス/製番化プロセス
 量産型の商品化プロセスとは、基本的には源流で規定されたアーキテクチャの範囲内で、複数の派生機種群を設計、市場に投入、サービスするまでの一連のフェーズを指す。

 個別受注型では、製番化プロセスとする。源流で確立されたベース機種情報をマスターとして、顧客仕様に従ってオプション仕様、モジュール仕様を選択。それらから外れた仕様をカスタマイズ設計し、製番として管理しながら設計・生産・納入・検証・サービスまでを行う一連のフェーズである。

 以上、今号では事業活動を3層、2フェーズで区分して整理する方法論を定義した。次号では、この定義を基にした、具体的な展開の進め方について述べる。