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小久美 善八 氏(京都大学 産官学連携本部 特任教授)

「ギブ・アンド・テイク」を心掛けよ

竹居 智久、中島 募=日経エレクトロニクス
2013/01/10 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2012年6月25日号 、pp.37-38 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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次世代蓄電池の研究を指揮

 近年、企業では事業化に直接結びつかない、本流から外れたテーマの研究を進めにくくなっていることは実感する。しかし、本流から外れたことをやらないと、次の本流は生まれてこないだろう。本流以外の研究を地道に続け、新技術を生み出せた企業が成長してきたことを忘れてはならない。

 最近は、産官学連携のブームに乗る形で、大学との共同研究に取り組む企業も増えている。私は、「役に立つ」と思ったら大学に研究を委託するのではなく、企業が自分で手掛けられる力をつけないと次に発展しないと考えている。だから私は自分がプロジェクト・リーダーを務める産官学連携プロジェクト「RISING(革新型蓄電池先端科学基礎研究事業)注1)」において、参加企業に対して「プロジェクトの成果を自社で継続研究できるようにしてください」と強くお願いしている。

注1)2009年に発足した、次世代蓄電池開発を目的とする産官学プロジェクト。大型放射光施設を用いて蓄電池内部の反応メカニズムを解析する手法の確立などを目指す。

 参加企業の研究者は、現場で自ら手を動かして研究を行う。そしてその過程で「どのような考えに基づいて研究を進めたのか」などのポイントを自ら体感する。これがあるからこそ、持ち帰った成果をさらに発展させることができる。研究成果をもらうだけでは企業の力はつかないし、税金を投じる意味もないだろう。

 実際、RISINGに参加している企業の意識も少しずつ変化しているようだ。プロジェクトの開始当初、ほとんどの企業は自分たちが持つ技術やノウハウを出すことに消極的だった。しかし研究が進むにつれ、多くの企業が「隠すより出した方が、研究が速く進む」「より良い成果が得られる」と考えるようになり、自前の技術やノウハウを持ち寄るようになった。「テイク・アンド・テイク」という考えでは、絶対にうまくいかない。「ギブ・アンド・テイク」を心掛けておく必要がある。

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