日本発の無線技術を表彰する「NEジャパン・ワイヤレス・テクノロジー・アワード」。本連載では、選考に先立ち、無線技術の最新トレンドを数回に分けておさらいする。まずは、携帯電話サービスを支える、移動通信技術の将来動向を紹介する。

 無線技術の将来動向を解説する連載の2回目は、パソコンやスマートフォンの必須技術となった無線LAN(WLAN)に焦点を当てる。

スマホ搭載が好循環生む

 無線LANの適用分野が今、大きく拡大している。これまではパソコンやその周辺機器、スマートフォンなど携帯機器での利用が中心だった。それが、テレビなどのAV機器をはじめ、エアコンなどの白物家電、ヘルスケア機器や車載機器など、さまざまな分野に広がりつつある(図1)。

図1 無線LANの適用領域が拡大へ<br> これまでの無線LANは、ノート・パソコンやパソコン周辺機器が中心だった。それがスマートフォンへの搭載をきっかけに、デジタル・カメラやヘルスケア機器にまで適用領域を広げつつある。(図:日経エレクトロニクス 2011年9月5日号、p\.30の図1から)
図1 無線LANの適用領域が拡大へ
これまでの無線LANは、ノート・パソコンやパソコン周辺機器が中心だった。それがスマートフォンへの搭載をきっかけに、デジタル・カメラやヘルスケア機器にまで適用領域を広げつつある。(図:日経エレクトロニクス 2011年9月5日号、p.30の図1から)
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 市場が急成長中のスマートフォンやタブレット端末には、ほぼ100%の割合で無線LAN機能が搭載されている。このため、無線LAN用送受信ICの出荷数が右肩上がりで拡大し、2011年には10億個を超えた。この出荷数増大が、ICの価格低減につながり、さらに採用機種の裾野が広がるという好循環が起きている。

 新市場への展開を始めた無線LAN。そこでは、これまでと異なる要求が発生している。「データ伝送速度は遅くても構わないから、長距離伝送できるように」「とにかく低消費電力な送受信ICが必要」「無線LANのリンク確立をもっと素早く済ませてほしい」といったものである。