自動車部品の市場規模は、2010年に5020億ユーロ(1ユーロ103円換算で51兆7000億円)であったものが、今後年率5.0%で市場が拡大し、2020年には8130億ユーロ(83兆7000億円)に達する--こう予測するのがコンサルティング会社のローランド・ベルガーです。

 市場の拡大を製品カテゴリー別に見ると、車載情報システムおよびパワートレーン関連部品がそれぞれ年率7.5%および6.1%と平均の伸び率を上回っているのに対し、外装、内装、シャシー関連の成長は少し緩やかで4%前後と予測しています。

 2020年までの市場拡大分は、3110億ユーロ(32兆円)となりますが、さきほどの製品カテゴリーで伸びに差があるように、すべての部品、地域が均等に成長するわけではありません。地域別の販売台数の増加割合は大きく異なり、販売台数の増加分の55%はBRICs(ブラジル・ロシア・中国・インド)が占めると予測します。また、ハードウエアの価格下落によって影響を受ける製品もあります。要するに、新興市場の拡大によって部品市場が広がるものの、分野によってその成長にはばらつきがあり、勝ち組部品と負け組部品では成長が大きく異なってくるというのが結論です。

 例えばパワートレーン部品の成長度合いを見ると、ハイブリッド化やアイドリングストップ機構の採用などによって、バッテリの市場が大きく拡大します。また、パワーエレクトロニクス、モータといった電動関連部品はバッテリと合わせて、市場拡大額が625億ユーロ(6兆4000億円)に達します。一方、負け組部品の代表例が車両組み込み型のカー・ナビゲーション・システムといいます。PND(簡易型カーナビ)やスマートフォンの普及によって、高価格かつアップデートが遅い組み込み型の市場規模は、年率9%のマイナス成長になると予測するのです。

 日経Automotive Technologyでは、こうした部品市場の将来動向を12月19日に発行する「自動車部品産業 成長への進路」(詳細はこちら)という別冊に掲載しました。2007年から連載している自動車部品の進化を解説する「自動車部品進化論」をまとめて収録するとともに、自動車部品メーカーの成長戦略策定に必要な「2020年に向けて伸びる部品・市場」、「部品メーカーのポスト中国戦略」、「部品メーカーが中国で成長するには」といった解説記事を盛り込みました。ぜひ今後のビジネス拡大に向けて、参考にしてください。