スマートフォンをめぐる「AppleとAndroid陣営の特許訴訟」は、IT業界の知的財産権問題を浮き彫りにしている。注目すべきは、通信の標準仕様に必ず使われる特許(標準必須特許)のライセンス条件だ。例えば、Apple社とMotorola社のライセンス料金の主張は10倍もの差があり「適正なライセンス料の基準とは何か」という問題を提示している。一連のスマホ特許係争の判決は、こうした問題に対する指針を示してくれるはずだ。(Tech-On!編集)

 米Apple社がアンドロイド陣営企業を相手取って訴訟を開始したのが、2010年3月。最初のターゲットは台湾HTC社であった。それ以降、2010年10月、米Motorola Mobility社(以下「Motorola社」)がApple社を提訴し、2011年4月にはApple社が最大のライバルである韓国Samsung Electronics社を提訴した。以来、両陣営の法廷闘争は世界的規模に拡大、激化していった(訴訟の経緯と特許リスト)。

AppleとMotorolaの訴訟も和解に進むか

 そのような状況の中、ようやく11月10日になってApple社とHTC社は和解に達した。Motorola社との係争についても、8月末、両社がライセンス契約に原則合意したように報じられている。いまに至っても和解の知らせはないものの、11月に入り両社が拘束力のある調停に応じる意思のあることを米ウィスコンシン州西部地区連邦裁判所に提出した書面で明らかにした(事件番号11-cv-00178)。ようやくMotorola社との本格的な和解の道が敷かれたというところか。