2012年の液晶テレビ需要(セルイン・ベース)は、ネガティブ要因がポジティブ要因を上回った。ドイツ証券(以下「当社」)予想に対して若干下ぶれの可能性が高まったと判断し、予想を2億1400万枚→2億1000万枚(対前年比(YOY)で+2%)に引き下げた。

 米国では、最終需要自体は比較的堅調で、若干改善基調にある。2012年はYOYで+3~4%の伸びのペースで、当社想定を若干上回っている。リスクは、50インチ以上の大型サイズの供給過剰を発端にした小売価格の急落である。感謝祭商戦後の動向(在庫の状況、及び価格を正常水準に戻した後の実需)を注視したい。

 欧州と日本国内は大きな動きがなく、依然厳しいままである。新興国はおしなべて好調であるものの、中国以外のアジア(インド等)で成長率が鈍りつつある地域が散見される(為替減価の影響など、マクロ要因と考えられる)。景気悪化が懸念される中国も、国慶節では好調であったテレビ販売の勢いに若干緩みが見られる。全体的に想定範囲から若干下ぶれ気味との印象である。

4Q生産は想定以上で上方修正

 2012年10月の当社推定稼働率(G5以上、面積ベース、分母はその月に投入可能な最大生産能力)は87%(韓国91%、台湾85%、日本80%、中国88%)と9月の87%から横ばい。G7.5以上は日本のシャープ、SDP(堺ディスプレイプロダクト)を除き実質フル稼働に近い状況となっていたが、そのシャープ、SDP、さらにパナソニックといった日本勢の稼働率がMOMで上昇している。

 4Qの予想を上方修正した。すなわち4Qの稼働率は84%→86%、QOQは±0%→+2%にそれぞれ修正した。12年の供給側の投入面積成長率はYOYで+12.0%→12.5%、パネル需要もテレビ・セット・ブランドの購買姿勢の転換(許容在庫水準を若干戻す)により従来予想の+10%を+12%に引き上げる。結局、10月時点のパネルメーカーの生産計画である「QOQで±0%~+2%程度」の上限での着地を見込むこととなる。