売れないことはディーラーにとっては死活問題である。売れなければ利益が減ってしまう。もちろん、その対策は取られている。20世紀、ディーラーの利益は新車販売5割、定期点検などの整備・保守が5割であった。現在は、3割、7割と整備・保守に力を入れている。定期点検、車検をディーラーに行わせる囲い込みビジネスを強めている。そのあおりを食った形で町工場が消えつつある。

 この変化は第二次産業である自動車が、サービス産業に移りつつあるということである。赤字で売って、後で永遠に稼ぐというビジネスモデルである。プリンターを安売りして、インクで儲けるパターンである。これは、第二次産業と第三次産業の垣根がなくなりつつあることを示している。もちろん、インターネット時代、農業のサービス化、漁業のサービス化なども簡単である。普及品を大量に作る時代ではなく、特注品を受注で作り、長い維持管理のサービスを通して利益を出していく時代である。第一次、第二次、第三次という産業構造の分類を捨てて、初めて21世紀の産業構造が見えてくるように思う。