CMIは大型出荷数量が1400万枚とAUOを上回る

 世界最大の電子機器受託生産(EMS)企業である台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn〕グループに属し、TFTパネルとモニター/TVアセンブリの両方を手掛ける台湾Innolux Display社(群創)は、2010年3月18日に台湾CMO社(奇美電子)と合併し、台湾ChiMei Innolux社(存続会社は群創だが社名は奇美電子)となった(略称はCMI)。CMIの2012年10月の連結売上高は420億1000万NTドル(YOYで4.6%増、MOMで7.4%減)。同月の大型パネル(10インチ以上)の出荷数量は1400万枚(YOYで20.8%増、MOMで13.0%減)。同年1~10月の累計出荷量はYOYで5%増。同期間の累計連結売上高はYOYで4%減。中小型パネルの出荷数量は3900万枚(YOYで9.5%減、MOMで3.5%増)、同年1~10月の累計中小型パネル出荷量はYOYで5%減。

 同社の稼働率は2012年4月に80%を超えしばらく横ばいとなった後、3Qに入って再び上昇局面に入っている。G5以上のラインの全体稼働率は9割に達しようとする水準に上がってきた。稼働率が最も低かった「Fab8」と呼ばれるG8ライン(実質生産能力は5万枚)も、生産量が2012年の年明けから2万枚/月、3月には3万枚/月を超え、5月以降は3万5000枚/月前後で推移してきたが、7月に4万枚/月を超えた後は、10月まで4万枚/月以上を維持している。12月以降は41.5インチと23.6インチのハイブリッド生産の開始などに伴い、ほぼフル稼働に持っていく可能性が高い。

 G8/G7.5ラインに関しては、シャープから光配向技術を導入し、本格量産を始めている。同社の大型パネルでは、動作モードとしてのVA(Vertical Alignment)やIPS、液晶の配向方式としての光配向やPSA(Polymer Sustained Alignment)など、様々な技術の導入を図っているため、同社としての方向性が今一つはっきりしてこなかった。光配向、PSA、IPSと全方位での展開を行っているのが実情のようであるが、光配向、IPSに関しては同社の想定通りには歩留まりが改善せず(=コストが高く)、パネル需要が旺盛な状況下では高歩留まりの製品にシフトする方が賢明ということから、再びPSAなどへの回帰傾向が見られる。

 また、採算が悪い32インチの比率を落とし39インチの増産を続けるG6工場も、基板投入が21万5000枚を超え、稼働率は9割を超える状態が続いている。一方、生産品目に現在の主力製品がないG5.5のFab4ラインに関しては7割程度と相対的に低稼働率を余儀なくされてきたが、こちらも29インチや58インチなどの新サイズを投入することで稼働率が上昇、9月以降8割台を維持している。NBや中小型パネルを生産するG5工場は、ほとんどが稼働率8割弱で大きな動きがない。

 大型全体の2012年2Qの稼働率は80~81%、同ガラス基板投入面積はQOQで5%程度増加。2012年における39インチの生産量は、3月で70万枚、4月で90万枚。5月以降は、100万枚としていた従来計画からは若干トーンダウンしていたが、9月には95万枚を超えて過去最高を更新した。10月は若干弱くなったものの、約90万枚と好調を維持している。同50インチの生産量は、3月が30万枚、4月が45万枚。その後は40万枚を少し下回ったが、7月から再び増勢に転じ、しばらくは40万~45万枚の推移が続いている。また、G5.5ラインで生産している新サイズの29インチについては、5月から30万~40万枚/月程度で生産が行われており、3Qも30万枚台の生産、出荷が続いている。同じくG5.5ラインで生産する58インチは8月から生産開始、2万5000~3万台/月程度の生産が想定されている。その結果、3Qの稼働率は86~88%程度、投入面積はQOQで7%増程度であったと見られる。4QもQOQで横ばい程度の生産を計画していると見られるが、若干実需より多いと見られ、その調整リスクには留意したい。