2012年10月における台湾電子産業について、分野別の売上高動向と予測を以下に示す。

マザーボード


 マザーボード(MB)大手各社の合計出荷数量は520万と対前年比(YOY)-3%、対前月比(MOM)-10%。主要4社中3社でMOM減少。YOYでは4社3社で増加。10月のMB出荷枚数はPegatron社(Asustek)が約120万(YOY-44%、MOM+10%)、Gigabyte Technology社が約160万(同+48%、-24%)、Micro-Star International(MSI)社が約110万(同+11%、-9%)、Elitegroup Computer Systems社が約140万(同+12%、-7%)。一方、4Qについては慎重な見方が大勢を占める。2大ブランドであるAsustekとGigabyte TechnologyはDIY(Do It Yourself:自作パソコン)の2大市場である欧州と中国でMB価格を値下げするなど、需要喚起を図った。しかし、今のところ効果は限定的である。2012年通年の目標を維持していた各社に下方修正の動きが出ており、AsustekがYOYほぼ横ばいから同-4%へ、MSIはYOY+5%程度から同2桁台%への減少に下方修正した。現時点の4Q見通しは、QOQ一桁のマイナスから同-10%程度が現実的な水準と考えられる。液晶モニターの観点では4Qの生産・出荷見通しがQOQ-10%の2200万程度と見られ、MBもこれに沿った線になる可能性が高いと見ている。この場合2012通年の出荷量はYOY-14%となる。

ノートPC


 ノートPC(パソコン)大手各社の合計出荷数量は、推定1400万(YOY-6%、MOM-5%)。主要4社中3社でMOM減少である。YOYでは4社中3社で減少。売上高は5社中4社でMOM増収となる。最終需要の不振やマクロ経済の不透明化、タブレットの攻勢などによって、主要ブランド各社の発注姿勢は、期待の新製品である「Windows 8」機種に対しても慎重なままであるどころか、2013年1Qの見通しも下がり気味である。またノートPC大手各社は3Q決算発表時にそろって2012年通年での出荷量目標を下方修正し、YOYでマイナス成長との見方を示している。2012年はYOY横ばいから若干のマイナス成長となる可能性が高そうである。2010年はYOY+18%と2桁成長であったものの、その後2011年、2012年とほぼ横ばいの年が2年続くことになる。当社の集計数字にはHon Hai Precision Industry社やFlextronics社を含まず、これら2社の出荷数量は減少傾向にあることから、全体では実質的にYOYで若干の減少となっている可能性が高い。このため、昨年から中国 成都、重慶など内陸部での生産拠点拡張を図ってきた各社は一転して、能力拡張に慎重な姿勢を取り始めている。