2012年10月における台湾電子産業の代表的企業41社の売上高は、対前年比(YOY)-6.3%、対前月比(MOM)+3.9%。ドイツ証券(以下「当社」)では、「iPhone 5」と「iPad mini」、その他スマートフォン部品、液晶テレビ関連の増収を見込む。しかし、Siファウンドリ、DRAM、太陽電池、LEDやノートパソコン(PC)関連の需要のスローダウンに相殺され、全体的では低めの増収率になると予想している。MOM+6%±5ポイントを想定、実績は想定レンジ半ばであった。

 10月は9月に続き「iPhone 5」と「iPad mini」など米Apple社関連の部品やアセンブリ企業が好調、Siファウンドリや太陽電池関連企業などが復活したものの、ノートPC、デスクトップPCなどPC関連が非常に弱く、液晶も反動減、全体では弱含みであった。

 9月21日に発売された「iPhone 5」は、案の定、供給側要因による品薄状態が続いてきた。IPS(in-plane switching)方式、タッチパネル内蔵の4型LTPS(低温多結晶Si)パネルは高歩留まりの生産が非常に難しく各社は依然格闘中。生産数量は当初の想定からはかなり下の水準で推移している点は従来と変わらない。ただし、徐々に改善に向かい、1500万/月の供給体制が整いつつある。現在の最大のボトルネックは液晶パネルから筺体や台湾Hon Hai Precision Industry社の工場オペレータ不足などに移行しつつある。

 当社推定のパネル出荷数量は3Q(第3四半期)全体で1070万。当初想定の3000万 との比較では3分の1程度の出荷に終わった。パネル供給はジャパンディスプレイ(第4.5/5.5世代)、韓国LG Display社(第4.5世代)、シャープ(第6世代)が受け持っており、推定月間生産能力はそれぞれ800万、600万、800万となるが、実際は(パネル以外のボトルネックにより)パネルで4500万、製品で3500万程度が合理的な上限、との見方である。