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“80後(パーリンホウ)”の美女社長(3)

永井麻生子=おあしすランゲージラボラトリー代表
2012/12/17 00:00
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今回紹介する書籍
題名:21岁当总裁
著者:董思陽
出版社:東方出版社
出版時期:2008年6月

 今回は、≪21岁当总裁》(日本語訳:21歳でCEO)の第3回。シンガポールの南洋理工大学に通いながら、大学構内でアクセサリーや海南鶏飯の販売などをしつつシンガポールの中華総商会に入り「大企業家」になる夢に向かって努力していた董思陽は18歳の時に大きなチャンスをつかむ。

 旧暦の正月の時にシンガポール中華総商会でアジア太平洋地区の大商談会を開いた。そこにはシンガポールはもとより、マレーシア、タイ、インドネシアから多くの華人が集まっていた。そこで董思陽は一人のインドネシアの造園業者と知り合う。そこでその造園業者はこのように勧めた。

 「シンガポール人は風水を気にするから、この時期に金柑の木(旧正月に金柑の樹を飾ると縁起がいいとされている)を扱うといいよ。うまくやれば数か月で相当稼げる」

 それを聞いた董思陽は早速金柑の木を輸入する手はずを整える。だが、流通ルートは皆大手に抑えられていて全く売れない。このままでは稼ぐどころか大損をしてしまうというときに、彼女はクリスマスツリーを見ていいアイデアを思いつく。

 「クリスマスツリーを飾るんだから、新年の金柑の木を飾ったっていいじゃない?」

 そこで彼女は色とりどりのリボン、ガラス玉、電球などの安い飾りを買ってきてミカンの木を飾った。それもただ飾るのではなく、4色で飾りそれぞれに意味を持たせた。赤で飾った樹は「愛情の樹」、黄色で飾ったのは「富の樹」、青で飾ったのは「学業、出世の樹」、緑で飾ったのは「健康の樹」このように色とりどりに飾って写真を撮り、1000シンガポール・ドルを使ってインターネット広告を出した。するとその日のうちに準備した樹はすべて売れてしまった。翌日また倍以上の樹を仕入れたがすぐに売れてしまい、そのまた翌日もその倍の本数の樹を仕入れたがすべて売れてしまうといった状態だった。

 このようにして董思陽は瞬く間に50万シンガポール・ドルを稼ぎ出した。商売の元手をつくり、「大企業家」へと歩を進める準備は整ったのだ。

 そのころ、彼女は一人の男性と巡り合う。Helly Tongという7歳年上のその男性とはたちまち意気投合して一緒に事業を起こすことになる。シンガポール鳳博国際貿易有限公司の誕生である。 順風満帆に見えた彼らの船出であったが会社設立後2カ月たっても全く商売は進展していなかった。Hellyは「何ごとも最初はうまくいかないものだ」と言って楽観的であったが彼女は落ち着いていられなかった。

 そこで彼らは何を扱うかを再度研究し直し、Hellyの得意分野であったコンピュータのソフトとチップの貿易を業務の中心に据えることにした。そんな時、ある日系企業との取引のチャンスが訪れる。彼女は勇んで相手に会いに行ったが、会社の規模が小さいことを理由に色よい返事がもらえない。しかし、彼女にとっては千載一遇かつ起死回生のチャンスなのだ。あきらめるわけにはいかない。相手は「とにかく規模が問題だから」といって傲岸な態度を崩さす、彼女の懇願には耳を貸さなかった。しかし、彼女はこういった。

 「もう、そのようにお断りにならなくても結構です。今日はちょっとしたご提案を三つ持ってきました。御社の代理店は大規模すぎて、シンガポールのような小さな国では独占状態になってしまっています。それでシンガポールでの価格がつり上がり一般の消費者がほかのブランドに流れています。もし御社がもっと小さな代理店と多く契約なさったら、シンガポールの国民は御社の製品の恩恵にあずかれることでしょう」

 ここまで言ったとき、日本側の顔色が変わりかすかにうなずいた。だが彼女はそこで売り込みに入らなかった。

「第2のご提案は社内の雰囲気をもっとリラックスしたものになさることです。御社には大変緊張した雰囲気が漂っています。そして三つ目は本当に小さなことなのですが、シンガポールは雨が多い関係で入口のマットが汚れています。他は全部こんなにおきれいになさっているのですから交換なさることをお勧めします」

 このあと、相手側は態度を変え、急きょ翌日に契約を締結することになったという。彼女の粘りと正攻法で攻めなかったことが功を奏したのだ。

 このようにして彼女の会社は最初の危機を乗り越えた。次週はその後、鳳博が多角化へと向かっていく道筋をご紹介する。

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