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苦境の電機産業に見る、日本型雇用の終焉

シャープやルネサスで希望退職者が殺到する矛盾

竹内 健=中央大学 理工学部教授
2012/11/26 11:32
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「ルネサス エレクトロニクスの早期退職で、募集人員5000名に対して7511人が応募」
「シャープは希望退職者を2000人募集したところ、2960人も集まり締切を前倒しに」

 電機メーカーの多くは経営が厳しい状況で、転職は難しい。それでもなぜ、多くの従業員が希望退職に応募するのでしょうか。希望退職者の中には、退職後の転職先も決まらないまま、退職を申し込んだ人も数多く居るようです。

 日本の終身雇用、年功序列の人事制度は、普段は少ない給料でコツコツと働きながら、退職の際に、退職金という形でお金を受け取る制度です。早期退職の希望者が多いのは、会社が潰れて、退職金が払えなくなる前、できるだけたくさん退職金を受け取れるうちに、辞めるということでしょう。

 本来は賃金でもらうべきお金を退職金で支払う制度では、これが合理的な判断でしょう。しかし、仕事の機会という意味では、転職は、事業が好調な時にする方が有利。業界が好調であれば、仕事の機会も多いし、今までの経験を生かしたステップアップも可能でしょう。不況で、市場に仕事が無い時に、仕事を辞めて新しい仕事を探すのは、非常に大変です。

 技術や市場が急速に変化し、事業の栄枯盛衰が当たり前にもかかわらず、人事制度は終身雇用を前提としている。この矛盾が一気に噴き出した感があります。今後は、企業が現在のような終身雇用、年功序列の雇用制度を維持することは難しいでしょうし、個人としても、自分で考えて生き残りを図るしかない。

 私が東芝に就職したのは1993年です。当時は、日本の電機メーカーの間での転職は厳禁と言われていました。真偽はわかりませんが、電機業界では各企業の人事部が連携し、相互に転職ができないようになっていると、噂されたものでした。

 転職を禁じるということは、逆に言うと、それだけ電機メーカーが盤石だったということ。従業員の一生の雇用を保証できると、会社も社員も思っていました。当時は、金融バブルが崩壊し、護送船団と言われていた、日本の金融業界で倒産や統合が相次ぎました。

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