極論かもしれませんが、イベントの主催者や参加者が「結果が何となく見えている」ならば、対話をする必要はありません。見えない未来について多様な意見が飛び交い、そこから意見の違いを共有したり、新しく何かを発見したりするからこそダイアローグは効果を発揮するのです。参加者の創造性を発揮し、私たち主催者側の予想を超える場を設ける。このためには、予定調和を防ぐ仕掛けが大切になります。

 「問い」と「対話手法」を決めると、ダイアローグ・イベントのおおよその骨格ができ上がったことになるでしょう。そこで安心してしまうと、予定調和の罠が待ち構えています。骨格は最も重要な要素である一方、計画的に進行し過ぎると予定調和に陥ってしまいがちだからです。

 これを防ぐためには、「テーマ」「問い」「対話手法」を決めた後、どのような展開になるかを複数の関係者で雑談してみると効果があります。かなりあ社中でも、メンバー3人で当日を想像しながら雑談してみることにしています。

 その際に「最後はこうなるんじゃないか?」という予測が3人とも一致しないならば、ゴーサインです。言い出しっぺの3人ですら結果が見えず、意見がバラバラであるのならば、予定調和になるリスクが少なくなるでしょう。ダイアローグも人生も計画しても予測不可能だからこそ、面白味があるってもんですよ。あ、すみません。ちょっとカッコつけすぎましたか(笑)。

ここからようやく詳細を詰めてみる

 問いの内容や予定調和への対策を確認できたら、あとは全体の時間配分や細かい担当などの詳細を詰めていきます。全体の時間配分でいつも気にかけているのは、どのような会でも起きがちな「時間がおしてしまう」こと。ここでも、予定調和を避けようとするとなおさらです。予定調和なく参加者の方に納得していただける対話にするためには、30分程度のバッファを設定した方がいいでしょう。これは「予定調和を崩しても場を成立させるための、アソビの部分」です。

 イベント当日に参加者同士のダイアローグを活性化するには、スペシャル・ゲストが効果を発揮します。社会で活躍している方々のお話は、やはり刺激的です。

 ただ、私たちのイベントはすべて手作りで、イベント企画会社もプロの司会者もいません。会場も無償でお借りした場所ですし、参加費も抑えています。ですから、ゲストの方への講演料など金銭的な貢献は難しいというのが実情です。ボランティアでご参加いただくゲストのみなさんには、本当に感謝で頭が下がる思いです。

 だからこそ、スペシャルゲストが手掛ける活動とテーマとの共通性、そしてゲストのみなさんとの共感を大事にしています。できるだけ、ゲストのみなさんとは事前にお会いし、自己紹介やイベントの内容、目的などをいろいろとお話しするようにしています。そうして、理解していただいた上で参加していただくことが大切だと思うのです。