例えば、「社内失業家ふぇ」のイベントでは、

(1)「そもそも社内失業って何ですか?
(2)「社会にとって社内失業にはどんな意味がありますか?

 という問いをあらかじめ用意しました。二つとも答えの幅が相手に委ねられている「オープン・クエスチョン」という質問形式です。

 これに対し、「はい・いいえ」「Aか、Bか」など回答の範囲を限る質問形式を「クローズド・クエスチョン」と呼びます。対話イベントですから、基本はオープン・クエスチョンを問いとして用意するのは言うまでもないでしょう。「あなたの考えを自由に述べてください」というスタンスは共通しています。

 ただ、同じオープン・クエスチョンでも、問いの狙いは異なります。(1)の「そもそも社内失業~」という問いは、自分の考えや感想をそれぞれ表現させることで、参加者自身がテーマについて考えるきっかけを提供する役割を担っています。(2)の「社会にとって社内失業には~」の問いは、“社内失業”という言葉が持つネガティブな語感を、対話の場の中で前向きなイメージに変換することが目的です。

 「問い」を考える際に最も大切なポイントは、「少し難しくすること」かもしれません。条件反射で口から言葉が出てくる問い掛けではなく、むしろ少し考えを整理しなければ話せない内容にすると、逆に人は話したくなるものだと感じています。

複数の対話手法を組み合わせて楽しさを増す

 また、「問い」と同じように大切なのは、ダイアローグの手法です。かなりあ社中では、4~5人のグループに分かれて話し合う「ワールドカフェ」という手法を使うことが多いですが、他にも多くの対話手法があります。これらは、テーマや問いの内容によって使い分けると、とても効果的です。

 ワールドカフェは、多様なメンバーでさまざまなアイデアを出したい時に向いています。4~5人単位でテーブルを囲み、他の人が話した話題を模造紙などに書きながら対話を進める手法です。対話に掛ける時間は1ラウンドでだいたい20分くらいが多いでしょう。そして、メンバーを入れ替えながら、2~3ラウンドを繰り返します。

 このメンバーの入れ替えによって、あたかも全員で話している感覚になり、良質な発散的アイデアを創出する場として機能します。テーブルに座るメンバーの多様性が増せば増すほど、さまざまなアイデアが生まれると思います。

 「OST(オープンスペーステクノロジー)」という手法もあります。これは、解決したい問題や議論したい課題について、参加者が主体的に提示し、進行も自主的に行います。特定の課題の関係者が一堂に会して話し合うダイアローグの代表的な手法です。参加者の階層や、対話主体を作らず、参加者が輪になって話すことで、立場や階層を超えて本質に近づくような場合に向いています。