Lenovo社はCompal社と、ノートPCの生産合弁、Lienpal社(聯宝)を中国安徽省合肥に設立、2012年中の稼働を予定している。ただ、台湾の市場関係者は、Lenovo社が生産合弁を作った目的は、Compal社からサプライチェーン・マネジメントとコスト管理を学ぶためであり、将来的には独自のサプライチェーンを育成し、中国系メーカーに部品を発注、台湾系への依存を減らすようになるとの見方を示す。

 こうした中、米IHS iSuppli社は2012年11月6日、電子機器を生産する世界のOEM(ブランド企業)の51%が、2013年には委託生産パートナーの数を減らすことを計画しているという調査結果を発表した*2

*2 委託生産パートナーの数は、調査の時点では平均8社とされている。

 この調査はIHS iSuppli社が2012年7月末から6週間にわたり、エレクトロニクス供給チェーンの顧客約1000社に対して150項目に上るアンケートを実施、集計したもの。業種は通信、PC、コンシューマ向け電子機器、自動車、運輸、工業などという。

 IHS iSuppli社のEMS&ODM首席アナリスト、Thomas J.Dinges氏によると、パートナーの数を減らす理由として大手の多くが挙げたのは、コストダウンを図るためというもの。EMSやODMを使う大きな目的の1つは、コストダウンにあるはずと疑問に思うが、これについてレポートは、「回答企業の多くが、生産の外部委託の採用はコストダウンにとって有効であるべきだが、実際にはEMS、ODM、さらにJDM*3のコスト構造を完全に把握することができていないと感じている」と指摘。OEMは委託のパートナーの数を減らした上で、残したパートナーに対しても、納期の短縮や価格見直しを促していく意向だとした。

*3 JDM Joint Design Manufacturersの略。ブランド企業と共同開発を行う企業のことを指す。

 EMS大手のある幹部は、「EMS方式で利益を出すには、フォックスコンのように巨大な人員をもって、iPhoneのような巨大な受注をこなすことが必要になる」と指摘。その上で、台湾系ODMは、設計という付加価値を失った上に、EMSの土俵でフォックスコンとの厳しい戦いを迫られることになるとの見方を示している。