一般に企業は幹部人材に対して次のような能力を求めている。

・自ら経営課題を見出す力
・経営課題を解決するための経営資源を調達・配分・活用する力
・企業内外での情報発信・コミュニケーション力
・タフさ・責任感などの資質

 このような能力を習得させる研修としてアクション・ラーニンングが中国で盛んになってきている。特に、経営課題を見出し解決していく力は、経営を担う上で必須でありながら、座学ではもちろんのこと、日常業務を遂行しているだけではなかなか計画的に向上させにくい。仕事の場での実践こそが重要であるという考えから、日常業務とは異なるレベルの課題を設定してストレッチさせる方法が広まってきている。また、活動の過程では指導者の役割も重要である。課題解決に取り組む中国人を指導する日本人駐在員の能力強化も狙いとしている企業がある。

 中国の日系企業は環境変化に応じて様々な改善・改革に取り組みつつ、成長を果たしてきた。その基盤となるのは、人である。昨今の日中関係を踏まえると、人材の現地化はますます重要になっている。中国人が経営を主導してこそ、中国ビジネスの成長を促進でき、また企業を中国と日本の架け橋たる存在へと昇華させ得るであろう。人材育成は未来と今をつなぐための永遠の課題である。