「これからのPLM」のコンセプトを展開するには(序)


 前述の「これからのPLM」のコンセプトを展開していく上では、現実的には、これを“各企業の誰が、どの立場の誰に提案するか?”など幾つかの難関がある。企業活動全体にわたる提案の推進者は、どの機能に所属するメンバーが妥当なのか。たとえば経営企画やIT推進部門の責任者が提案者となったとしても、執行責任を負えるのが代表取締役しかいないとなると、ことは 容易ではない。会社規模にもよるが、そのコンセプトを了解してもらうことから始まり、グランドデザインを策定し、了解を取って実行に移すという流れも単純には進まないだろう。

 その一方で、世界の競争を生き抜くには、やはり少しずつでもPLMを実現していくしかない、と筆者は考えている。そこで、何とかこれを実現に移すための方法を検討してみた。次回はこれを紹介していくが、一つ明らかなのは“意識を変える”ことの重要さである。それは従来のPLMに多かった「まずPLMツールありき」の前提を捨てることだ。前項で「これからのPLM」のコ ンセプトを定義したが、その実現は既存のツール1つではとても応えきれるものではないし、そのツールの機能を拡張すれば良いわけでもない。ツール選択以前の課題として、まずPLMのコンセプトが持つ本質的な目的を“どういう姿として実現するか”“いつまでに実現するか”など、明確にしていくことが王道となるのである。

 それらも含め、次回ではこの現実的な進め方について述べてみたい。