3次元データプロセス改革との関連

 以上、グローバル化の過渡期にある製造業の課題を、各企業の悩みとともに紹介してみた。本連載の主題である3次元データプロセス改革は、これらの課題の解決と歩調を合わせて進めなければ、狙い通りの効果を得ることは難しいだろう。

 まず、前回の課題[1]の開発拠点の役割定義に関しては、3次元データプロセス改革において、データの公開範囲や拠点間の連携方針は要件として明確にしなければならず、どうしても必要なものだ。また、同じく課題[2]サプライチェーンの高度化においては、サプライヤーとの3次元データの授受がポイントとなる。これは国内において最も多く改善余地を残している問題の一つであり、グローバル化によりさらなる対応が欠かせない。また、サプライチェーンの変化を前提として、拠点や取引先の変更によるデータ種やデータの公開範囲の変更が行いやすいプロセスの構築も求められる。

 一方、今回の[3]製品/設計の標準化に関しては、個別製品だけでなく製品プラットフォームの開発を行うことと、その際それぞれの共通化検討を実施することを前提として、3次元データプロセス改革を進める必要がある。そして、最後の課題[4]の人材育成については、3次元データプロセス改革において、誰にどれだけ3次元データやプロセスのことを理解させるべきか、なるべく負担を掛けずにプロセスを運用するにはどうすべきかといったことを、これまで述べたような人材育成の現状を踏まえて検討すべきだろう。

 今後本連載では、3次元データプロセス改革の内容についてだけでなく、前回から2回にわたって述べたような“3次元以外の課題”とどのように歩調を合わせ、活動の整合を取りながら進めていくべきか、といった点にも言及していく。