課題[4]人材育成

「グローバル化において必要な人材と、そのスキルの定義が難しい」

 これは、ある電機メーカーの開発部の部長が語ったコメントである。技術者に求められるスキルは、事業環境の要請に合わせて変化を続けてきた。たとえば、技術難易度の高度化に伴って専門分化が進み、これにより製品全体を理解している人材が減少したため、従来は必要とされなかった製品全体の理解のための教育が行われるようになった。また、機能別の組織運営から事業部別、プロジェクト別の組織運営に変化したことから、プロジェクト・マネジメントやリーダーシップなどの教育が必要とされ、市場が成熟し製品の差別化が難しくなった状況を踏まえて、技術者向けのマーケティングや商品企画の教育も行われるようになっているのである。

 ここで重要になるのが、本連載のもう1つのテーマであるグローバル化への対応だ。海外文化への理解や海外とのコミュニケーション力の強化など、さらにスキルアップが必要な要素が増えているのである。しかし、これまで挙げたスキル要素を全て兼ね備えたような人材を、必要な数だけ採用し育成しようというのは現実的ではない。だからこそ、改めて各人材の役割を定義する必要があるのだ。その際にポイントとなるのが、これまでに述べた開発拠点の役割定義や製品/設計標準化との連動である。つまり、開発拠点に求められる役割から各人材に求められる役割を割り当てるとともに、製品/設計標準化により、標準で対応する部分とスキルで対応する部分を、すみ分けていかなければならない。