設計力向上 開発手法と支援ツールの動向・事例
 

第4回:グローバル化の過渡期にある製造業の課題 (2/2)

新井本昌宏=デロイト トーマツ コンサルティング マネジャー
2012/11/12 11:00
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 前回は、グローバル化の過渡期にある製造業の課題として、開発拠点の役割定義とサプライチェーン高度化について、各社の悩みを中心に紹介した。今回は、さらに他の2つの課題を共有するとともに、本連載のテーマの1つである3次元データプロセス改革とこれらの課題の関連について述べていく。

課題[3]製品/設計標準化

「各製品の材料費や加工費のコストダウンと、製品、部品、工程の種類に起因する段取費や管理費のコストダウンは相反する傾向にあり、統合したコストダウンの実施が難しい」

 これは、ある機械部品メーカーの開発管理部の部長によるコメントである。このような悩みを持つ企業では、モジュラーデザインの取り組みを始めている所が多い。モジュラーデザインは、最近の開発業務改革の中で最も流行っている手法といっても過言ではない。この機械部品メーカーでも、2年ほどかけてモジュラーデザインへの取り組みを進めている。

 しかし、モジュラーデザインの取り組みを始めた企業であっても、部品の共通化こそある程度進んでいるものの、仕様や機能、生産工程の共通化はあまり進展していない場合が多い。その理由は、モジュラーデザインの取り組みが、「従来の個別製品開発の中でできること」だけに留まっている点にある。製品ごとの開発では、部品選定の際にできるだけ既存の部品を流用することで、ある程度部品の共通化を進められる。だが、中期的に投入する予定の製品群を俯瞰した検討が、十分に行われていないのである。

 言うまでもなく、モジュラーデザインの手法には、このような製品群を俯瞰した検討もその手順に織り込まれている。しかし、従来このような検討を行っていない企業がいきなり取り組もうとしても、あまりうまく進まないことが多い。実施すべきタスクを明確にして必要な推進体制を構築しリソースを割り当てるといった、手法以前の基本的なマネジメントの欠如が改革推進の障害となっているのである。ところがそれにもかかわらず「モジュラーデザインの有効性が低い」と、手法のせいにされている場合も少なくない。

 グローバル化の進展により製品種類や開発拠点が増加していく中で、従来行っていなかったような製品/設計標準化の検討も新たに必要となってきた。そのため、改革推進の基本的なマネジメントが改めて問われることになったのである。さらにグローバル化への対応では、特に人材リソースが不足することも少なくない。そのため改革推進マネジメントの中でも、特に予算確保のための提案や交渉、外部人材の有効活用がポイントとなることが多いのだ。

「各開発拠点のプロセスや品番、図枠等の規約をどの程度標準化すべきか。その判断が悩ましい」

 これは、ある電機メーカーの開発管理部の部長のコメントである。このような判断についても、ベーシックな現状分析を地道に行って結論を出していく必要があるのは当然だろう。この手法自体は決して目新しいものではないが、モジュラーデザインの例と同じく、着実な改革推進のためのマネジメントこそが重要なのである。

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