中国人幹部が会社管理者として、自らの問題として捉えるか、逆に一般ワーカーの不満に同調してリスクを傍観するかが大きな分かれ道となる。中国における日系工場での日頃のマネジメントで重要なことを経験からまとめた。

 ・従業員の間では企業への不満が潜在しており、ストライキ発生などのリスクあることを認識し、常に現場の情報を収集すること。
 ・現地日本人管理者は状況に応じた判断、行動を素早くとる必要があり、日本本社からの指示待ちではならないこと。
 ・工会(労働組合)や従業員代表との定期的なコミュニケーションの場つくりで現場の声を吸い上げる仕組みをつくること。
 ・現地の日本人経営幹部と中国人管理者の信頼感・一体感を形成し、従業員への指導など場面に応じて中国人管理者を前面に出すこと。
 ・誕生日会、演芸大会、忘年会など金銭以外の各種イベントを工夫し、普段から社員と会社の風通しを良くし、関係性を良好に保つこと。

 日中国交正常化40周年の今年にこのような事態に至ったことは大変悲しい出来事ではあるが、過去同様の困難をいくつも乗り越えてきた日系企業である。昨今の中国の原料高、人材難、賃金上昇、元高、輸出減の五重苦と共に反日リスクを抱える日系企業であるが、GDPで2位と3位の両国が政治的な課題を乗り越えて、ビジネスの場で連携していかなければ世界経済にも悪影響を及ぼすことになるだろう。一日も早い解決を願ってやまない。