もう一つは、日本のエネルギー政策を考える視座である。
本書にはエネルギー問題を考える10の視点が提示されているが、三つ目に登場する“エネルギー需要の半分以上が「モノの生産」用”という事実は、今まで認識したことがなかった。食糧、基礎材料、製造機械、耐久消費財などを生産するエネルギー消費量と、そのための輸送エネルギー消費量が、全エネルギー消費量の3分の2を占める、というのだ。
自家用車や家電、冷暖房のように、一般的にイメージされるエネルギー消費はエネルギー消費全体のごく一部にすぎない、とのこと。
原発事故の後に原発廃止論と再生可能エネルギー期待論が高まっているが、エネルギーのプロである著者の井原氏は再生可能エネルギーに厳しい。