総経理の澎双浪(Paul Peng)氏や副総経理(モバイル用パネル事業部長)の呉大剛(TK Wu)氏による、需給、経営戦略、有機EL(OLED)などに関するコメントは次の通り。

(a)3Qについては、売上高は想定通りであり、中国のテレビ需要が回復基調にあるなどプラス材料もある。しかしながら、正直なところ、利益に関しては計画を大きく下回った。その理由は、①中小型パネル新機種(「iPad mini」を指していると見られる)の遅れ(量産出荷が4Qに遅れたため、3Qはコストのみの計上となり収益を圧迫した)、②太陽電池事業における極端な供給過剰と価格低下〔同事業による営業損失は連結ベースの営業損失のうちの約1割(約9億NTドル)を占めた〕、の2点。中小型パネルに関しては、今後、売り上げ比率の拡大、収益の大幅改善を見込んでいる。

(b)大型パネルの需要に関しては、2012年は年間、面積ベースで需要が13%増(従来は11.5%増)、供給能力が7.3%増(同7.4%増)と見込む。2012年は大型テレビとタブレット向けがけん引役となる。2013年は、需要が8~10%増、供給能力が4%増と見込んでいる。

(c)アプリケーション別の技術動向については、タブレットとUltrabook向けでは、まず高精細(フルHD以上)、次いで高視野角(IPS/HVA)を挙げる。同社の場合、タブレット、電子ブック、デジタル一眼レフカメラ(DSLR)、医療用などでの採用を見込む。そして、0.4mmガラスを採用した超薄型パネルに付加価値を見いだす。スマートフォン向けでは、まずは高精細化(4.5~5.7インチのフルHD)を推進。次いで、中国での需要拡大を見込むA-Si(Amorphous Silicon)パネルに注力する。さらに、大型化を進め、5インチを超えるサイズの比率を上昇。高視野角化への対応も視野に入れる。大型パネル向けでは、4K2Kを徐々に浸透させつつ、超狭額縁(10mm以下)や高色域(LCD/有機ELともに)に注力していくとしている。

(d)有機ELと酸化物半導体については、大型パネル向けとしてG6のテストラインを導入済み。重要顧客と協業し、酸化物半導体基板ベースの4K2K有機ELパネルを見据えて開発を進めている。65インチのサンプルを作製中で、将来はG5~G8まで幅広く酸化物半導体化することも検討している。中小型においても酸化物半導体基板の採用を検討。ただし、量産に関しては生産技術、部材など、ボトルネックがまだまだ多い。「100%の自信」が得られてから実施すると述べた。3Qから4.3インチ(257ppi)パネルを量産開始予定だった、L3(G3.5)に関しては、新たな説明はなし。この他、1万5000枚/月の有機ELパネルを生産できるL4B(G4.5/当時の東芝モバイルディスプレイから買収)工場についても、特に説明はなかった。