民生向けや、産業機器向けを問わず、世界的な競争力が高いとされる日本の部品メーカー。2012年1月、パナソニックがデバイス事業部門(パナソニック エレクトロニック デバイスとセミコンダクター社、三洋電機とパナソニック電工の一部など)を統合したパナソニック デバイス社が発足した。売上高は約1兆4000億円と、部品/デバイスを専門に手掛ける事業体としては、世界有数の規模を誇る。「シェア上位の事業にリソースを集中投下する」という同社の動きは、日本の電子部品メーカーの行く末を考える上で興味深い。同社トップに就任したた小林俊明氏のインタビューを2回に分けて掲載する。(聞き手は蓬田 宏樹、大久保 聡)

─統合により、広範な製品群を抱えるようになった。この製品ポートフォリオをどう峻別していくのか。

こばやし としあき 1951年生まれ。1974年に慶応義塾大学 工学部 電気工学科を卒業。1994年4月に松下電器産業に入社。同年6月、松下電子部品 商品開発センター 商品開発室長に。同社 開発技術センター 情報通信研究所長などを経て、2004年6月に常務取締役。2007年4月に、パナソニック エレクトロニックデバイス 代表取締役社長に就任。2012年1月から現職。(写真:今 紀之)

 ひとことで言うと「間断なき選択と集中」を進めるということだ。

 我々の事業を精緻に見ていくと、極めて強い事業もあれば、これから伸びて強くなるであろう事業もある。一方で、先々厳しい環境にさらされ淘汰されそうな 事業、そして現状で既に負けている事業がある。経営資源は限られているため、徹底的にリソースを集中させる方針だ。それは、グローバル・シェアで1位もし くは2位の事業(トップシェア商品)に集中投下するというものである。目標は、総販売のうちの70%以上をトップシェア商品で占めることだ。

 中でも現在、三つの事業分野の成長に期待している。それは(1)モバイル、(2)環境対応車、(3)環境インフラである。この三つのジャンルに焦点を定め、開発技術者、開発投資などを集中させている。