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生駒 俊明 氏(キヤノン 取締役副社長)

研究開発こそ「コミットメント」を求めていく

田野倉 保雄=日経エレクトロニクス編集長、大石 基之
2012/11/07 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2009年5月4日号 、pp.107-109 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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半導体の技術者出身で,東京大学 教授,日本テキサス・インスツルメンツ 社長などを歴任してきた生駒 俊明氏。同氏がキヤノンの取締役副社長に就任した直後のインタビューを再掲する。これからの技術者に求められるのは、「自分の専門分野をプロフェッショナルの域まで磨くことが重要」と説く。(聞き手は日経エレクトロニクス編集長の田野倉 保雄と、副編集長の大石 基之、いずれも当時の役職)

─昨今の経済状況は100年に1度の危機といわれています。生駒さんはどのように見ていますか。

いこま としあき 1941年,東京生まれ。東京大学 大学院 工学系研究科 博士課程修了。1982年4月から東京大学 教授となる。1997年2月~2002年1月に日本テキサス・インスツルメンツ 代表取締役社長を務める。その後,一橋大学 大学院 国際企業戦略研究科 客員教授,産業再生機構 監査役,日立金属 社外取締役,科学技術振興機構 研究開発戦略センター長などを歴任。2005年4月から,キヤノン 顧問。2009年1月に同社 研究開発担当 特別顧問 総合R&D本部長。2009年3月から現職。(写真:栗原 克己)

 世間では,2008年の金融危機で金融バブルがはじけて実体経済に戻ったという人が多い。金融,デリバティブなどが悪かった,といわれています。

 僕の見方は,むしろ逆です。結局,実体経済にこれまで追い風が吹き過ぎていた。バブル経済で膨らんだお金が中国などに投資されて,それが米国自身に戻ってきて,購買意欲が高まる。その結果,日本の輸出が盛り上がる,ということです。過去5年間,ずっと景気は良かった。これはバブル経済のおかげであり,得したと思えばいい。バブル経済がなかったら,低空飛行を続けていたはずですよ。

─得したものがなくなっただけで,ある意味,通常状態に戻ったと考えればいい,ということですか。

 経済をGDPでとらえれば,経済全体は今後右肩上がりになっていくでしょう。ただ,この5年間にバブル経済をうまく利用してキャッシュ(現金)をため込んだ会社は,次のステップに進める。逆に,この期間に赤字や赤黒トントンぐらいできた会社は,今後ますますきつくなると思います。

 技術の観点からは,別の見方ができます。経済は必ず循環するので,今度は再び,成長が期待できる。右肩上がりでいくというのは,新しい市場が出てくることを意味する。だから,この右肩上がりの部分をどう読むかが重要になります。

 おそらく,BRICs市場がもう1回復活するでしょう。BRICsが市場の主役になったとき,製造業の業態は変わる。BRICsでは先進国とは違ったパターンの製品を欲しがる。ここから,製造業の今後の姿を読み取ったところが勝つ。自動車はすごくハッキリしていて,インドの自動車メーカーなどの製品を見ても,今後品質はそれほど問われなくなる。日本のように品質にすごくこだわって,そのためにコストが高い製品を作るようでは,勝ち抜くことが容易ではないかもしれない。

 同じことが,あらゆる産業界で起こる。「品質は良い。でも,そんなのは買わないよ」という考え方が,市場の主流になってしばらく続くでしょう。

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