台湾の経済紙『工商時報』(2012年9月12日付)によると、メリルリンチ証券台湾のアナリスト、鄭勝栄氏は、2012年第4四半期におけるWindows 8搭載ノートPCの見通しについて、同時期に低価格のタブレットPCが集中的に発売されることで、消費者のノートPCに対する支出は減るとの見方を示した。

 一方、台湾の通信社『中央社』(2012年10月21日付)によると、ODM大手のWistronは、「世界的に景気の先行きが不透明なことを受け、ブランド各社はWindows 8搭載機の生産プランについては極めて慎重になっている」と指摘している。

 工商時報(2012年10月17日付)はまた、台湾の官民協同シンクタンク、Market Intelligence & Consulting Institute(MIC=産業情報研究所)の産業コンサルタント、洪春暉氏の見方を伝えている。洪氏は、「ノートPC出荷は2012年上半期には安定して推移したが、同第3四半期になると状況が急速に悪化した。これを受け産業川下のブランド各社や小売店が極めて保守的な見通しを持つようなった」と指摘。その上で、「ブランド各社は受託生産メーカーに対し、Windows 8を搭載した新モデルを実際に販売してみて、売れ行きが良ければ、その時になって初めて、緊急の追加発注で処理すると通達したようだ」と話している。

 こうした中、中国や台湾のメディアが、Windows 8搭載機の生産について、EMS/ODMの懸念材料として挙げていたことがある。EMS/ODMの話をすると最近、最終的にはこの話に行き着いてしまうのだが、生産拠点の中国における人手の確保だ。

 工商時報(2012年9月21日付)によれば、Windows 8搭載ノートPCの生産が集中する同年9月の人手を確保するために、ODMや部品サプライヤーが人手の争奪戦を展開。この影響で、中国内陸の重慶と並びODMのノートPC工場が集中する中国江蘇省の蘇州、昆山など一部の地域で、人材の仲介業者に支払う手数料が、普段の相場である1人当たり200元(1元=約12.7円)から、同年9月中旬時点で800元にまで高騰した。