クルマ 自動車の最新技術を追う
 

クルマから給電できる時代が到来

狩集 浩志=日経エレクトロニクス
2012/10/26 10:00
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 トヨタ自動車は2012年10月22日、ハイブリッド車(HEV)「プリウス」とプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)「プリウスPHV」に、車両から電力を供給できる機能を追加しました。車内の2カ所にコンセントを取り付けただけでなく、車両の外側にある充電口を利用した給電が可能です(関連記事)。

 特に、プリウスPHVの場合は、車載電池の電力容量が4.4kWhとプリウスに比べて約4倍と大きいため、エンジンを始動することなく、長時間にわたって給電できます。追加費用はプリウスが6万3000円、プリウスPHVが9万4500円です。

 こうしたクルマから給電できる機能は、電気自動車(EV)が先行していました。実際、三菱自動車や日産自動車が自社のEV向けに相次いで給電装置を販売しています。このうち、三菱自動車は2012年4月に同社のEV「i-MiEV」や「MINICAB-MiEV」から給電できる「MiEV power BOX」の販売を始めました(関連記事)。トヨタ自動車とは違い、持ち運び可能な電力変換装置で、価格は14万9800円です。

 一方、日産自動車はEV「リーフ」から最大6kWを給電できる「EVパワーステーション」(ニチコン製)を2012年6月中旬から販売しています。こちらは住宅などで利用する据え置き型で給電機能だけでなく、リーフに最短4時間で充電可能な急速充電機能も備えています(関連記事)。価格は、経済産業省の「充電器等に対する補助金制度」が適用された場合で、標準的な設置工事費用を含んだ実質的な負担額で33万円(税込み)です。

 EVの販売台数は苦戦していますが、こうしたクルマからの給電機能を暮らしの安心・安全につなげようと、住宅メーカーである積水ハウスが2012年10月1日にリーフから給電可能な住宅「グリーンファーストV2H」を発表しました。ニチコンの電力変換装置を用いて、非常時にはEVから給電して家庭で電力を利用できるというものです。

 今後、中長期的に見れば、HEVだけでなく、PHEVやEVが着実に普及していくでしょう。そうなれば、将来的には車載電池から家やビル、地域に電力を供給することが当たり前になり、クルマからの給電機能をどのように有効利用していくのか、エネルギー問題を考える上で重要なテーマになりそうです。

 クルマの買い替えは10年サイクルですが、家やビルは数十年、地域単位では100年と長いスパンでしか変わっていきませんから、今のうちからクルマの給電機能を用いた将来構想を描きつつ、家やビル、都市を設計しなければならないでしょう。

 ここからは宣伝となりますが、2012年10月29日~11月2日にパシフィコ横浜で「Smart City Week 2012」(主催:日経BP社)が開かれます。その中で、日経エレクトロニクスと日経Automotive Technologyは10月31日の専門セミナーにおいて「クルマと家、クルマと地域をつなげるV2H/V2G最前線」を開催予定です。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のDr. Brett Williams氏や三井不動産 柏の葉キャンパスシティプロジェクト推進部長の河合淳也氏、日産自動車 企画・先行技術開発本部 技術企画部 主管の近藤晴彦氏にご講演いただきます。

 さらに講演に続いて、ユニバーサルエネルギー研究所 代表取締役社長の金田武司氏と同社 技術顧問の堀雅夫氏に参加していただき、講師の方々を交えたパネルディスカッションを開催致します。日米の違いや、自動車メーカーとディベロッパーの立場の違いなどV2H/V2Gに関する意見を多面的な視点から聞けるまたとない機会になると考えております。ご興味のある方はぜひご参加ください。

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