2012年10月2~6日に幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2012」では、Huawei Technologies社/ファーウェイ・ジャパンの存在が目立った()。低価格路線だけでなく「世界でトップレベルの薄さ」「LTE(Long Term Evolution)対応」など多彩な端末を展示し、技術力の高さをアピールしていた。ZTE社のスマートフォンは、2011年の段階でソフトバンクに採用されていたが、2012年には遂に、Huawei Technologies社のスマートフォンがNTTドコモで採用された。世界最大の加入者を誇る中国携帯電話市場をバックに、日本を含む海外での中国企業の快進撃が、今後、さらに加速すると予感している。

 日本国内で使われる「外資系企業」という言葉は、かつては日本にある欧米企業を意味することがほとんどだった。しかし近年、日本においては、中国系や韓国系の企業の存在感が増してきており、外資系企業という言葉の中に、中国系や韓国系の企業も今後は含められていくことになるだろう。中国系や韓国系の企業の台頭は、日本の技術者にとっては、活躍の場の選択肢を広げるいいい機会になる。ただ、それと同時に、日本とも欧米とも違う中国や韓国の企業や文化についてもっと勉強し理解していくことが、ますます必要になってくると感じている。

図●「CEATEC JAPAN 2012」のHuawei Technologies社/ファーウェイ・ジャパンのブース

 繰り返しになるが、企業の成長やイノベーションの創出には、優秀な人材や多様な人材が求められる。そして、そうした人材の獲得や活用は、どの国のどの企業にとっても成功を収めるための最も重要な要件の1つといえるだろう。最も豊富な人材資源を有する国は恐らく米国だ。米国は、多くの国から集まった優秀な人材や多様な人材を生かし、イノベーションによる成長戦略を成功させている。

 かつて韓国勢のSamsung Electronics社とLG Electronics社は、日本がリードしていたテレビや電子部品の技術を追いかけるために、日本メーカーの優秀な人材を一生懸命にスカウトした。それと同じように、中国企業は現在、人材戦略を強化している。老舗のグローバル企業の衰退は、中国企業にとっては人材獲得の絶好のチャンスである。優秀な人材や多様な人材が増えつつある中国のグローバル企業では、今後、イノベーションを起こす可能性がますます高まっている。