2012年に入って、日本国内では有名なグローバル企業の大規模なリストラが相次いで発表されている。これまでも、IT、半導体、電機業界では、しばしばリストラが実施されているが、最近の状況で注目したいのは、リストラされた人材の一部がすぐさま中国系の企業に採用されていることだ。中国系企業への人材の流出が増加しているのだ。

 実は、こうした状況はリストラ対象者だけにとどまらない。有名なグローバル企業の管理層に就いている優秀な人材にも広がってきている。

 企業を成長させ、イノベーションを創出していくには、優秀な人材や多様な人材が必要になる。中国系企業はそのための人材を集めている。今後、中国系のグローバル企業は、一層実力をつけると予想される。

外資系グローバル企業から中国地場メーカーへ

 米Motorola Mobility社は2012年秋、中国で大規模なリストラを実施した。報道によると、中国の南京市にある同社の開発センターの技術者約500人をリストラした。同社だけではなく、フィンランドNokia社、米Hewlett-Packard(HP)社などの老舗のグローバル企業は、生き残るために、最も重要な市場と言われている中国でもリストラを断行した。過去のリストラからいつも免れてきた中国拠点の従業員にとっては、ショックは大きいだろう。

 しかし、リストラされた人材は、元々の勤務先をやむを得ず離れたものの、中国Lenovo(聯想)社や中国Huawei Technologies社(華為技術)などの中国で優秀な民営企業にすぐ採用されていた。Motorola Mobility社で長期間、携帯電話やスマートフォンの開発に従事していた技術者は、スマートフォンに力を入れるLenovo社やHuawei Technologies社にとっては宝物であり、両社はそうした技術者を大量に採用したと言われている。