これはあくまでも私の推測ですが、Amazonの狙いはむしろ、自社のクラウドデータセンターの強化にあるのではないかと思います。ビッグデータと言われるように、ネット上に膨大なデータが流れ、ソーシャルメディアなどのデータを活用した新しいサービスが、AmazonやGoogle、Appleといった企業から提案されています。

 膨大なデータを処理、記憶するデータセンターは巨大なコンピュータ網。このデータセンターをどのように構築するかが、Amazonのサービスの差異化には重要なのです。TIが携帯電話向けに開発している、ARMベースの低電力CPU技術をデータセンターに応用し、低電力でかつ、高速なリアルタイムな検索や解析といったサービスを実現しようとしているのではないか。

 このコラムでも前述のAppleだけでなく、「HDD事業を売却しサービスに特化したIBMがSSDメーカーを買収するわけ」(関連記事2)「GoogleやFacebookがハードに進出する時代とは」(関連記事3)などの記事で、アメリカのネットサービス企業、IT企業がサービスから、ソフト、ハードまで最適化する動きを紹介してきました。

 今回のAmazonのTIのCPU事業の買収は、そういった、IT融合時代の象徴的な出来事のように感じます。一方、日本はどうなっているのか。先日、経済産業省が主催した「IT融合シンポジウム」(関連URL)が開催され、私も次世代ビッグデータ処理基盤システムに関して講演を行いました。こういった、IT融合の動きが日本にも無いわけではありませんが、アメリカと比べてしまうと、残念ながら、まだまだ鈍い。