根元にガイドを用意する
フレームに次ぐ課題は、液晶ディスプレイ部だった。特に、フレームに収納するときの“美しさ”、具体的にはフレームと液晶ディスプレイの隙間をいかに均一にできるかが問題となった。
「どのくらいの精度が出せますか?」
黒川たちは、部品メーカーや加工メーカーに聞いて回った。部品の製造誤差や組み立て時の取り付け誤差などを加味すると、破綻することが目に見えている。
「液晶ディスプレイを呼び込む段階から矯正しよう」
アイデアが出てくるまでには数日間もかかった。ひねり出したのが、フレームの根元付近に「ガイド」を付けること。何度も調整を繰り返し、ガイドの最適な位置や高さなどを決めた。
もう一つ、フレームに収納した際にカチッと固定できるようにしたかった。そこで、液晶ディスプレイの先端が収まるフレームの中央部に「ラッチ機構」を設けた。このラッチ機構は、液晶ディスプレイの回転軸の役割も果たす。これにより、フレームとぶつかることもなく、液晶ディスプレイが滑らかに回転できるようになった。