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Tech-On!書籍レビュー

500年に一度の技術革新 日本は出遅れずに使いこなせるか

インクジェット時代がきた!、山口 修一、山路 達也著、777円

  • 日経エレクトロニクス
  • 2012/11/10 00:00
  • 1/1ページ
インクジェット時代がきた!、山口 修一、山路 達也著、777円(税込)、214ページ、光文社、2012年5月
インクジェット時代がきた!、山口 修一、山路 達也著、777円(税込)、214ページ、光文社、2012年5月
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 インクジェット印刷(IJP)技術は世界を否応なしに変える。より具体的には、ちょうどグーテンベルクが15世紀に活版印刷を発明した時と同様に、IJP技術が社会を大きく変える技術になると、この著者は考えている。約500年に一度の技術革新というわけだ。

 著者の山口修一氏はあとがきで、エプソン(現・セイコーエプソン)入社から11年目の1994年に世界初の写真画質プリンターの開発に成功した際、「だがそのとき、私は気づいてしまった。インクジェット技術はプリンターだけで終わる技術ではないということに」と述べている。よくある後付けの自慢ではない。山口氏は3年後の1997年にマイクロジェットという会社を立ち上げている。

 本書では、IJP技術がただのプリンターを超える進化・発展を見せてきた様子が語られている。本書の副題は「液晶テレビも骨も作れる驚異の技術」だが、本文では「ケーキに印刷、家にも印刷」、3Dプリンター、IJPで作製する電子回路についても触れられている。

 さらには米University of Illinois ProfessorのJohn Rogers氏が2011年夏に発表した、皮膚に印刷するセンサ回路技術や産業技術総合研究所が開発した「ダブルショット・インクジェット技術」、そして山口氏自身が研究中の、細胞をIJPで積層して臓器の再生を目指す技術など最新成果の数々が紹介されている。

 これだけだと個々の技術の羅列だが、著者は従来の有版印刷と無版のIJP技術の本質的な違いも説明している。それは、IJP技術では有形の版が不要で、一品一品、違うデザインの「モノ」を小型の装置で低コストに「製造」できる点。言い換えればこれまで巨大だった製造装置の大幅な小型化とパーソナル化である。

 興味深いのは、IJP技術の中にこうした「究極のデジタル化」と「究極の職人芸」が同居している点だ。IJP技術では有形の版の代わりに、デジタル・データを用いる。IJPの装置と適切な「インク」、そしてデジタル・データさえあれば、誰もがモノを半ば自由に作れる。一方で、適切なインクの開発は容易ではなく、インクと印刷用紙(または基板)との組み合わせも成否を大きく左右する。

 著者が指摘するように、こうしたインパクトの大きな技術は世界、特に日本にとって「両刃の剣」でもある。ものづくりでの職人芸が最大の強みである一方で、デジタル化では出遅れ気味の日本にとって、IJP技術で新産業を創造していくのは決して容易ではない。それでも、生き残りのために、そこに挑戦することが問われている。

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