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1445型のディスプレイが登場、米ベンチャーの技術を活用

大久保 聡=日経エレクトロニクス
2012/10/10 10:45
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CEATECでの日本電気硝子のブースにあったLPD
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IAC社に導入された大型ディスプレイ
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 先週土曜日(2012年10月6日)に閉幕した「CEATEC JAPAN 2012」(CEATEC2012 報道特設サイト)。「見えないガラス」などを披露した日本電気硝子のブースには、興味深いディスプレイがありました。それが、米ベンチャー企業Prysm社が開発したLaser Phosphor Display(LPD)です。

 LPDはBlu-ray Discレコーダーに使われる青紫色半導体レーザを20個束ねてレーザ光源とし、RGBそれぞれの蛍光体でサブピクセルを構成したスクリーンの背面に向けて、レーザ光を照射・走査することで映像を描きだすディスプレイ。あえてたとえると、CRTの電子銃の代わりにレーザ光を使う形になります。画面寸法25型(縦横比4対3、画素数320×240)のLPDを縦横に積み重ねることで、大型ディスプレイを構成できます。日本電気硝子のブースでは、12個のLPD(横に4列、縦に3列)を使い、対角92型のディスプレイを構成していました。

 4カ月ほど前の本コラムにてLPDを取り上げた際、「顧客への納入が本格化した」というPrysm社のコメントを紹介しました(2012年6月15日掲載のEditor’s Note)。当時、納入先の名前は明らかにされておらず、どのような大型ディスプレイをLPDで構成しているのかが分かりにくい状況でした。液晶モニターを並べたり、RGBのLEDを多数個並べたりして構成する大型ディスプレイに比べると消費電力を大きく減らせるとしていましたが、実際の設置状況が分からない状況でした。しかし、ここにきて、導入事例の詳細が明らかになってきました。

 2012年10月、Prysm社は1445型の大型ディスプレイを米IAC社の本社(米国ニューヨーク)に導入したと発表しました。横幅36.6m、高さ3.05mという巨大なディスプレイは、LPDを横72列、縦8列の合計576個で構成した計算になります。IACのオフィス西側に設置したとのこと。ちなみに、オフィス東側には横幅6.10m、高さ3.05mの268型ディスプレイが設置されています。ここにも、LPDを用いました。

 Prysm社Vice President、Business Developmentの鈴木久之氏によれば、IACではLPD導入前にも壁一面に映像を映し出していたとのこと。当時は、前面投射型のプロジェクターを十数台使って壁面に映像を表示しており、映像の投影を妨げないように壁面から約10m以内は立ち入りできなかったそうです。消費電力が大きい、横から見たときの色合いの変化が顕著、コントラスト比が高くない、といった課題がLPDで解消できることが評価され、導入につながったといいます。

 IAC社以外の導入事例についても、Prysm社は企業名をいくつか明らかにしました。前回の記事で「欧州のある高級衣料店舗に納入する5.6m×6.9mの大型ディスプレイ」と紹介した例は、世界的な衣料ブランドである英Burberry社のこと。英国ロンドンにある旗艦店に導入したディスプレイは、200個程度のLPDで構成しました。同じく「ある電機メーカーと商談を進める半円状ディスプレイ(横幅17.8m、高さ1.9m)」と記した“ある電機メーカー”とは、米General Electric社でした。この他、Cisco Systems社にも納入実績があるといいます。

 さらに日本での納入実績も出てきました。現時点で社名を公表していませんが、東京のある企業のオフィスに最近、LPDを横6列、縦5列の30台を用いた142型品を納入したとのこと。総画素数は横1920、縦1200になります。消費電力は平均1200Wであり、全白表示時の画面輝度は500cd/m2、画面のコントラスト比は最大10万対1とのこと。RGBのLEDを並べたLEDディスプレイで構成する場合に比べると、同型のディスプレイに比べて画素数を増やせ(LPDは1.6mmピッチなのに対し、LEDディスプレイは3~4mmピッチ)、消費電力が低く(Prysm社の試算によれば約1/3とのこと)、Prysm社は今後の導入案件の伸びに大きく期待しています。

 Prysm社はLPDの高解像度化も検討中です。交通管制システムなど、大型ディスプレイに細かい線や文字を映し出すことを考えると、現在1.6mmである画素ピッチを狭めた方が需要を喚起できるとみています。同社は、レーザ光の光学系を改良することで高解像度化に対応していく考えです。細かい線や文字を映し出すのは、液晶モニターが得意とするところ。LPDが液晶モニターの対抗軸になるのかどうか、今後も同社の導入事例や高解像度化の進捗に注目していく予定です。

 なお、Prysm社は「FPD International 2012」のフォーラムで講演します。LPDに興味のある方は、ぜひご参加ください(詳細はこちら

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