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リストラが相次ぐ電機業界、抜擢人事なくして、復活は望めない

均一の賃金カットや早期退職では体力が落ちるだけ

竹内 健=中央大学 理工学部 教授
2012/10/01 09:00
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 シャープ、NEC、ルネサス エレクトロニクス、パナソニック・・・と千人、万人の単位でのリストラが報道されています。でも、電機メーカーは、リストラの先に復活の処方箋が描けているのでしょうか。

 画一的な賃金カットや早期退職では、会社の体力が落ちるだけ。窮地に立たされた会社の中にも、高い利益をあげている部門や、将来が有望な部門もあるはずです。会社全体のリストラにより、そういった、稼ぎ頭の部門の体力を削いでしまっては、復活は望めません。

 リストラで良くあるケースが、不採算の部門の人員を、利益をあげている部門に異動させること。一見、これは素晴らしいやり方に見えますが、やり方を間違えると、有望な部門を弱体化することになりかねません。

 例えば、異動に際して、従来の会社のルール通り、年功序列でポスト配分を行うと、どうなるでしょうか。リストラ組の高齢の管理職が、儲かっている部署に異動し、それまで事業を立ち上げてきた若手の立役者の上司になってしまう、ということがよくあります。

 海外では人事の評価が年齢とは無関係に決まりますので、事業を失敗した人が、成功している事業に移ってきて、上のポストになることは、通常はありえません。そもそも、当該事業に対して理解が浅い人を、年齢が高いというだけで高いポストにつけるのは、不合理です。

 これでは、それまで有望な部門で頑張ってきた人、成功の立役者のやる気をそぐことになりかねません。

 もはや、会社の苦境を「おしん」のように社員全員で分かち合うだけでは、電機業界を取り巻く、現在の厳しい状況からの復活は難しい。むしろ、少なくなってきた経営資源を、有望な部門に集中する。そして、有望な部門の人材をフルに活用する。

 従来のような年功序列の人事制度はもはや、機能しなくなっているのです。抜擢と言うほどの大袈裟なことでもなく、能力のある人には、少々年が若いとしても、責任とチャンスを与えることが、個人にとっても、会社にとっても必要ではないでしょうか。

 年齢だけで判断するのは良くないですが、もう、退職までの年数が見えてきて、逃げ切りを考えている世代は、抜本的な変化を嫌いがち。会社が10年、20年後も生き残るためには、痛みを伴う事業の変化が必要だと頭でわかっていても、自分はやりたくない。

「お前の言うことは、正しい」
「でも、それでは俺が困る」
「俺が居なくなってからやってくれ」

 というわけです。こうして、変化を先送りするうちに、会社が弱っていく。会社が復活するためには、自分の人生をコミットして変わろうとする世代に、会社の将来を託すべきではないでしょうか。

 かつて、終身雇用が保証できていた頃は、年を取って、事業が落ち目になった時に、昇り調子の事業に移り、年功序列で優遇された立場を維持してもらうのも合理的だったかもしれません。誰でも、年を取ったら、同じような立場になるかもしれない。困った時にはお互い様、ということです。

 でも、もうこうした世代間での貸し借りは、若手にとっては、もはや空手形。私はバブル入社世代ですが、私の同年代は、若い時に我慢して、やっと責任あるポジション、待遇の順番が回ってきたと思ったら、もう早期退職の勧告です。

 会社、特に技術をコアとする企業では、人材が会社の生命線。現在の苦境を脱するためには、リストラと同時に、人材の潜在力をフルに生かすような、人事面での改革も不可欠ではないでしょうか。

 さて、現在の電機メーカーの経営者が、このような抜本的な社内の改革ができるのでしょうか。リストラを発表しても、いっこうに株価が上がらないのは、会社の将来の展望が見えないから。

 現在の苦境を作った、経営者へのレッドカードなのです。もし改革ができないのであれば、まず、経営者自身が、経営のポストを次の世代に譲るべきではないでしょうか。

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