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永井麻生子=おあしすランゲージラボラトリー代表
2012/10/09 00:00
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今回紹介する書籍
題名:独自上場
著者:李娜
出版社:中信出版社
出版時期:2012年8月

 今週も2011年テニス全仏オープン女子シングルスの中国初の優勝者、李娜の著書『独自上場(一人で舞台に上がる)』をご紹介する。

 第1回にも書いたように、筆者は自己啓発あるいは自己管理法について学ぼうと本書を手に取ったわけだが、書かれている内容はどちらかというと過去の出来事に対する李娜の感想、意見など情緒的なものが中心である。しかし、だからと言って自己研鑽に役立つ記述がないわけではない。

 今回は彼女が「子供の教育」に関して述べているところから、彼女がどのような人格形成を望ましく考えているかをのぞいてみたい。実際のところは夫でありコーチでもある姜山が子供を欲しがらないため現在のところ子供はいないという。

 筆者は反日デモ沈静化の兆しが見え始めた9月19日に本稿を書いているのだが、李娜の中国の家庭教育に対する分析は中国の若者を見る上でも一助になると思われるため、少し長いが、以下に引用したい。

 「中国の子供が自分に自信がないのは父母のせいだ。なぜ外国人は皆中国人よりも自信を持っているのだろう。それは、外国人の子供は、皆、自分で大きくなるからだ。私は外国(筆者注:李娜はアメリカ、およびヨーロッパで長年生活しているためここでいる「外国」は欧米諸国のことを指すと思われる)で何年も暮らしたが、外国人は子供の自主性を束縛しない。子供が何かをしようとしたら、法に触れるとか明らかに誤った事でない限り必ず試させてみる。たとえば、今日テニスをするか、勉強するか、バスケットをするか、ゲームで遊ぶかを自分で自信を持って選択するのだ。中国の子供は何をするにしても「これはしてもいいことか?」と考える。このようにして成長すると、どんな出来事に対しても「これはしてもいいか?」と考えるようになる。この違いは大きい。大学を出て専門教育に進んだ学生でさえ、この素地の違いのためにその後の成長が大きく異なるのだ。

 このように、自分に対して責任を持つという態度は父母から与えられる。決して学校から教えられるものではない。学校で教えるのは知識だけだ。我々は最初に小学校で「人民を愛せ、祖国を愛せ」と教えられ、大学に行ってから「あたりかまわず痰を吐くな」と教えられるが、これは完全に順序が間違っている。私は自分がテニスをするときに自信が持てないのは長らくチームに属し、集団で教育を受けてきたため、何かを選択するときにいつも迷い自信が持てないからだと感じる。することが正しいのかどうか、そしてその決断の結果どのようなことが起こるのかがはっきりわからない。スポーツ選手はこの問題が一般の人よりも重要だ。なぜならば勝ち負けに常に直面し、子供のころから見てきた世界が大変直接的だからだ。コーチは選手の自信を揺るがせることにより自らの権威を高めようとするが、そのやり方は科学的ではない。すべての人は同じではなく、比べることに意味はない」

 この記述を読んで、ある在日中国人の言葉を思い出した。「反日デモに参加している中国人の多くは深く考えていない。周りが行くから自分も言って騒いでいるだけだ」。我々日本人から見ると中国人は自己主張が強いように感じられるが、それは自己主張なのではなくむしろ「周りから見てしてもいいことかどうか?」ということを真っ先に考えているのかもしれない。李娜の言うように一人一人が自覚的に自信を持って自らの行動を決定すれば今回のデモから発展した暴動のような騒ぎは起こりにくくなるのではないか。また、我々日本人も李娜の言葉をかみしめ自分たちの頭で考え自信を持って行動を選択するようになることが求められているのではないだろうか。

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