永井麻生子=おあしすランゲージラボラトリー代表
2012/10/01 00:00
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今回紹介する書籍
題名:独自上場
著者:李娜
出版社:中信出版社
出版時期:2012年8月

 今週も2011年テニス全仏オープン女子シングルスの優勝者李娜の著書、『独自上場(一人で舞台に上がる)』をご紹介したい。

 李娜という選手はその強さだけでなく行動にも注目されてきた。例えば彼女は2001年にバラの花のタトゥーを入れている。まだ、国のテニスチームに所属していたときにその指導方法について批判したと言われ非難を浴びたこともあった。また、2008年9月の北京オリンピック後には中国初のフリーのプロテニス選手の一人となっている。

 また、「李娜の本を紹介しようと思う」と華人の知り合い(日本在住30代男性)に話した時、すぐさま「若い子に人気あるよね~。なんで?」という返事が返ってきた。私が北京で見かけた本書の読者も若い女性であった。北京最大級の書店の一番目立つところにわざわざショーウィンドーが作られ本書が陳列されていた。このように彼女は毀誉褒貶がありながら確実に中国人(特に若い女性)の心をつかんでいる。

 ではなぜ彼女の行動はこのように人の心をひきつけるのだろうか。本書の中で彼女はたびたび自らの性格を分析している。その際によく出てくるのが「私は武漢人だから…」という表現だ。「武漢人」というのは一般的にどういう性格だと思われているのか。

 武漢人のイメージというのは大雑把で細かいことにこだわらず、にぎやかなことが好きだが、気が短く、よく人と言い合いをする、ということらしい。李娜はそれに加えて「直情的で思ったことをすぐ口にする」と自己分析している。ほかにも「人に嫌われることは厭わないが、人に頼まれると断れない」などとも述べており、「情に厚い」といもいえよう。試合の時、緊張が高まると大声で夫の名を叫ぶことも有名だ。また、本書の中で彼女はたびたび夫に巡り合ったことが自分の人生の中で最大の幸運だ、というように述べている。その一方で舌禍事件も何度か引き起こしていることを考えると、彼女の場合、その率直さ、激しさが最大の特徴だと言えよう。ちなみにその夫は李娜のことを本書の序文で以下のように紹介している。

 「人から見れば彼女は優秀なテニス選手であり、メジャーの優勝者だが、私にとっては普通の妻で、余所の奥さんたちと全く変わらない。彼女は生まれついての武漢娘で、性格はやや片意地だが、時に優しく、時にあまえたがりだ。彼女が全仏オープンの表彰台に立った時、自分の妻がこんなにも素晴らしいことを実感した。彼女を妻にできてこの瞬間を胸に刻めることの幸運を感じた」

 「片意地」という表現からわかるのは彼女の意志の強さだ。本書の中では彼女のその意志の強さ、強じんな精神力がそこここから見て取れる。

 彼女はその意志の力で3度のひざの手術、そして中国人テニス選手としては初めての「フリー」の選手のうちの一人として戦い、メジャータイトルホルダーとなった。次回は本書から彼女の強さの秘密を読み解いていきたい。

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