「いや、現地の修理工場はみな日本からの純正部品を求めています。中国製の部品を修理に使うと、必ず1年以内に壊れます。粗悪品は1週間も持ちません。これでは、我々修理工場の信用がなくなってしまいます。『全て日本からの純正部品で修理をして欲しい』と要望するお客様もたくさんいらっしゃいます。むしろ、高くても純正部品がいいと思っているお客様の方が多いのではないでしょうか」

 意外な答えだった。しかも、この修理工場のオーナーが力説して言うのは、必ず日本から直接部品を持ってきて届けて欲しいというのだ。貿易というかたちをとると、途中ですり替えられたり、最初から偽物が入っていたりするのだという。

 「中国製部品の場合、非常に精巧にできている場合も多く、自動車に装着して実際に走らせてみないと偽物と分からないものも結構あります。ただ、1週間もすれば決まって故障するので、使ってみれば分かるわけですが」

 修理工場の中を見学して見渡すと、修理のための設備はほぼ中国製であることも分かる。「○○工廠」「南京○○製造」などの銘板が装置に貼ってあるのだ。

 「使っておられる機材はほとんど中国製ですね」
「はい、そうです。修理用の機械類はほとんど中国製です。我々も中国から数年前に来た華僑で、これらを中国から直接持ってきたので、すぐに商売を始めることができたのです。ただ残念ながら、これらもよく壊れるのです」