新製品の動向に注目

 タブレットPCについては、New iPadおよび、米Amazon.com, Inc.や米Google Inc.、米Microsoft Corp.などの新製品の動向に注目。「New iPadはiPhoneとは違い最終需要に若干の下方修正リスクあり」と述べてきたが、実際に関連主要部品の生産出荷はスローダウンしている。液晶パネルでは韓国Samsung Display Corp.、LG Display、シャープの3社合計で800万台/月の供給体制となっている。しかし、実際の発注は生産能力の半分程度にトーンダウンしている。なお、7.85インチの小型iPad(iPadMiniなどと呼ばれている)に関しても、7月からパネルなど主要部品の生産が開始されており、8月後半から9月の組み立て開始が最速とみている。

 ただし、部材の動きからは年内の生産規模は最大1100万~1300万台程度とこちらもトーンダウンした。Amazon(Kindle Fire)やGoogle(Nexus 7)、Microsoft(Surface)が新たに投入するタブレット新製品については、1)まだ明らかになっていないSurfaceの価格設定、2)生産数量、3)Apple製品だけでなく、既存のノートブックPC(NB)やUltrabookとの需要の食いあいの程度、である。

 Nexus7やKindle Fireが既に戦略的価格(ハード単体では不採算)の199米ドルを打ち出しており、SurfaceもWindows RTバージョンが同価格設定の可能性があろう。生産数量は3社合計で年内2000万台を超える勢いである。各社ともハードウェアでは戦略的価格を打ち出す合理的理由と財務体力があるため、価格設定と数量次第では、NBやUltrabookの強力なライバルとなる可能性が高い。要注目である。

 8月の売り上げは全体でMOMの微増を想定。例年はMOMが1桁後半から10%程度のプラスの場合が多く、やや弱めにみている。LED、液晶パネルは増産基調が続き、タブレットは新製品の立ち上げ、携帯電話機はiPhone5の立ち上げなどもあり増勢が続く一方、ファウンドリ、太陽電池はQOQ増産モメンタムに天井感がある。電子部品需要も例年との比較では伸び悩むとみており、例年より弱めの水準を想定している。