急増する特許売買、経営戦略を左右


 特許には破格の値札が付く時代となった。そして、この動向が、企業経営者が自社の保有する特許に目を向け、その資産としての価値を見直す契機となった。さらに、投資ファンドや投資銀行など、投資家の注目を集めるとともに、特許ブローカーの活動も活発化している。

 改めて近年の大型特許売買取引事例をまとめてみた(図1)。直近の例では、2012年6月18日に米Intel社が米InterDigital社の特許1700件を3億7500万米ドルで買収することが公表された(関連情報)。その直後、InterDigital社の株価が27%上昇したのはいまだ記憶に新しい(グラフ)。

図1 近年の大型特許売買事例
一般経済紙が特許売買の記事を大きく報道するようになった。
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 図1に示した高額取引は、そのほとんどがICT関連特許である。そして、それが立て続けに起きている。これは決して偶然ではない。まさに、必要に迫られて、経営戦略の一環として行われている。その背景にあるのは、スマホ市場の急成長とそこにおける熾烈な覇権争いだ。

グラフ
InterDigital社の2012年6月1カ月間の株価の推移。6月18日に29.24米ドルを付けて以来、高値傾向を維持し続けている。
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