『技術は盗まない。お金を出して買う』日本にアピール

 これは、当社のウェブサイト閲覧には会員登録が必要2週間無料で読める試用会員も用意)において、2012年8月29日付で掲載した記事に付けた見出しの一部だ。この前日の28日に起きた日本と台湾企業を巡るあるニュースについて、台湾メディアの反応を見た上で付けたものなのだが、さて、何のニュースだがお分かりだろうか?

 答えは、電子機器受託生産(EMS)世界最大手、台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn(フォックスコン)〕のトップ、郭台銘董事長が、NECの持つ液晶パネル関連の特許について、その一部を購入する意向を明らかにしたというニュース。

 郭氏は28日、蕭万長・台湾前副総統を団長とする「台日経済交流訪問団」の一員としてNECを訪問。その後、メディアに対してNECの持つ液晶パネル関連の特許について、一部を購入する意向を明かした。台湾紙『経済日報』(2012年8月29日付)によると郭氏は、「この件についてはNEC側と既に何カ月も交渉を重ねてきた。突然の思いつきではない」とコメント。ただ、正式合意の時期がいつになるのかや購入の金額については、「まだ契約書を準備していないが、双方は既に共通の認識を持っている。大きな金額になる」と述べるにとどまり、具体的な言及を避けた。

 同日付の日本経済新聞は、購入額を100億円弱だと指摘。ただ、郭氏の発言に対するNEC側の反応として「現時点で合意したことはない」とのコメントを紹介している。

 NECの特許購入を巡る郭氏の発言について、台湾の金融系ネットメディア『cnYES』は、同日付で論評を掲載。「シャープとの提携交渉が大詰めを迎える敏感なこの時期に、まだ正式合意に達していないNECとの交渉を郭氏が一方的に明かすのは、異例のことだと言える」と指摘した。