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Lenovo、国際企業への軌跡(2)

永井麻生子=おあしすランゲージラボラトリー代表
2012/09/10 00:00
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今回紹介する書籍
題名:再聯想:聯想国際化十年
著者:張小平
出版社:機械工業出版社
出版時期:2012年1月

 今回は『再聯想』の2回目。これを直訳すると「再び連想する」。「聯想」という中国名と動詞の「聯想=連想する」をかけたものである。1984年に11人で始めた会社が中国第1のコンピューター・メーカーとなり、米IBM社のPC(パソコン)業務を買収するようにまでなったその秘密を探った書籍である。

 今回扱うのは第2章。2004~2008年のLenovoの歩みを描いている。2004年は同社がIBMのパソコン部門を買い取った年。この出来事は中国企業が国際的な経済の舞台で十分戦える力を備えたことを示す大きな転換点だ。ここからの4年間が平坦なものではなかったことは想像に難くないであろう。

 では、その「国際的企業への第一歩」を踏み出す前にLenovoは「国際化」という路線に対してどのような姿勢で臨むと決めたのか。

 まず、国際化に進む前に同社は戦う領域を絞った。2003年に扱う商品をPCに集中することを決める。国際化に踏み出す前に中国という急成長する市場で存分に戦うための基盤を整えたのだ。陳紹鵬という幹部職員がこのように語っている。

WTO(世界貿易機関)加盟によって中国は経済の「泥沼」から「広い道路」に変わった。「泥沼」には外国人は入れなかった。外国人にとって以前よりずっと歩きやすくなったのに、どうやって米Dell社のような外国の大企業と戦えるというのだ。Lenovoは専門化、グローバル化の道を進まなければ「広い道路」で他人を追い抜けない。

 このようにしてLenovoはPCに特化して国際舞台に躍り出られる日を待っていた。

 そして、IBMとの事業買収の話がはじまる。IBMは21世紀に入ったころからPC事業の売却先を探していた。中国という巨大な消費市場で成長を続けるLenovoがIBMの目に留まったのは当然のことだ。2001年にIBMはLenovoに対してPC事業を譲渡する交渉を開始したが、創業者である劉伝志の答えは「ノー」だった。紆余曲折を経てLenovoが買収に積極的に動き出したのは2003年の11月のことだ。

 同時にLenovoは新しい挑戦をも試みる。ブランドの改定だ。国際化を進めていくうえで「Legend」というブランドには少々問題があった。すでにいくつかの国ではほかの会社に登録されていたのである。300以上の候補の中から彼らは「Lenovo」というブランドを選んだ。Lenovoの「Le」はLegendという旧ブランド名から、「novo」はラテン語で「innovation(革新)」を表す言葉だという。こうして世界に冠たる「Lenovo」というブランド名は決められた。

 その後の買収劇については当時も多く報道されたのでここでは詳しく紹介しないが、本書では、やはり「泥沼」という表現を使い、当時LenovoがIBMのPC事業を買い取った背景を表現している。

1997年ごろには世界は中国の経済発展に無関心だった。それゆえ中国のコンピューター産業にも目が向かず、「ウサギとカメ」のたとえでいうなら欧米というウサギが油断している間に中国というカメが勝ったのだ。その後、ウサギは中国という泥沼に入ってきたが、やはりここでもなれない泥沼に足を取られて亀に勝つことができなかった。しかし、中国のWTO加入後は、関係する法律も整い(=中国は泥沼ではなくなった)ウサギももはや眠っていない。となれば、亀が勝つためにはどうすればいいのか。新しいDNAを入れるしかない。つまり、ウサギと結婚する以外にカメが生き残る道はなかったのだ。

 本書の中では柳伝志が買収を決意したのはIBM側がPC部門を売りたがっているのは決してこの部門の成績が芳しくないからではなく、組織全体の再構築のためだと分かったからだ、と書かれているが、ここで挙げたように「ウサギと結婚しなければ未来はない」という判断も大きかったのであろう。

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