3次元CADデータの活用先には、CAECAMCATCGRPDMUコラボレーションがある。

 CAEは、Computer Aided Engineeringの略である。設計において強度、熱、流体、機構などの解析や、樹脂流動、プレス成形、視認性、組立性などのシミュレーションは不可欠である。CAEは、解析データを定義するプリプロセッサ、解析を実行するソルバ、解析結果をグラフィカルに表示するポストプロセッサで構成されている(CAEについては、公式ガイドブックのpp.184~189を参照)。

 CAMは、Computer Aided Manufacturingの略である。CAMが対象とするのは、マシニングセンタによるNC(Numerical Control)加工、NC旋盤加工、NC板金加工などである。そのためにCAMでは、①加工対象とする形状データの入力、②加工指示(加工の種類や使用工具、素材形状、加工条件および加工手順)の定義、③工具の動きを表すCL(Cutter Location)データの計算、④対象の工作機械をCLデータに基づいて制御するためのNCデータの作成(出力処理)、といった機能を持つ。工作機械は、そのNCデータを読み込んで、加工を実行する。CAMでは、加工のために、設計データをオフセットしたり、凹部や穴を埋めたり、面を滑らかに延長したり、複数の面を1つにまとめるなどの形状操作が必要なことがある(CAMについては、公式ガイドブックのpp.190-194を参照)。

 CATは、Computer Aided Testingの略である。3次元測定機による計測結果とCADデータを照合することで、曲面の精度も可視化できる。また、計測結果から形状を定義し、それをCAMやCAEで利用するリバース・エンジニアリングも実用されている(CATについては、公式ガイドブックのpp.195-196を参照)。

 CGは、Computer Graphicsの略である。CGを利用する目的は、設計データのビジュアルな表現にある。ライト、カメラ、マテリアルなどのCGを定義する機能や、レンダリングの機能が、現在、多くの3次元CADにプラグインされている。そして、機構などの動きを、ビジュアルな映像としてビデオファイルに保存することができる(CGについては、公式ガイドブックのp.197を参照)。

 RPは、Rapid Prototypingの略である。RPは、デザイン評価、機能評価、真空注型や鋳造用のマスターモデル作製、部品の製造などに用いられている。RPによる造形の手順は、①3次元CADデータをSTL(STereo Lithography)フォーマットで転送、②STLからスライスデータを作成、③必要に応じてサポートデータを定義、④造形パスの生成、⑤RPで積層造形を実行、である(RPについては、公式ガイドブックのpp.198-200を参照)。

 DMUは、Digital Mock-Upの略である。非常に大規模なアセンブリを閲覧したり、パーツ間の干渉を検証したりするときには、3次元CADデータを軽量化するXVLやJTなどのフォーマットが使われる。DMUでは、軽量化されたデータを使って、製品モデル全体の把握、製品モデルのデザインレビュー、パーツ間の隙間や干渉の確認などをコンピュータ上で実行することができる。さらに、マニュアルに使用するパーツのイラストや、3次元CADデータを挿入したドキュメントも作成することができる(DMUについては、公式ガイドブックのpp.201-203を参照)。

 コラボレーションとは、サーバに保管されている3次元データを打ち合わせや指示などに用いたり、海外事業部との遠隔なコミュニケーションに用いたりすることである。CADデータをITの環境で上手に活用する方法のことである(コラボレーションについては、公式ガイドブックのpp.204-206を参照)。

 次ページからは、平成22年度3次元CAD利用技術者試験2級に出題されたにデータの管理や活用に関する設問を示す。