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HOMEスキルアップマネジメント竹内 健の「エンジニアが知っておきたいMOT(技術経営)」 > 個人の生き残りの条件は、変わり続けること、学び続けること

竹内 健の「エンジニアが知っておきたいMOT(技術経営)」

個人の生き残りの条件は、変わり続けること、学び続けること

これからのワークライフバランスは仕事、家庭、学びの調和

  • 竹内 健=中央大学 理工学部 教授
  • 2012/08/27 09:00
  • 1/1ページ

 激変が続く電機業界では、企業は生き残りのために、事業の切り離しやリストラも避けられない状況です。そんな厳しい状況の中、個人が生き残るための条件は何でしょうか。

 技術の急速な進化、激化するグローバル競争などにより、エレクトロニクス業界は事業構造を、今までにないほど頻繁に変えることを求められています。電機メーカーはかつて、シャープがシャープ・ペンシル、東芝が電球を主力事業としていたように、その時々の環境に応じて、事業の中身を変え、しぶとく生き残ってきました。

 事業の内容が変われば、社員、特に技術者に求められるスキルも変わります。事業の変化のスピードがゆっくりだった時代には、必要に迫られた時に、社員を再教育することで、新しい分野に適応していけました。

 例えば、最近の日本の半導体メーカーは、ロジックLSIの最先端のデバイス、プロセスの開発から撤退しました。マーケティングや回路の設計は自社で行うものの、製造はTSMCやUMCなど海外企業に委託するようになったのです。

 その結果、ロジックLSIのデバイス、プロセスのエンジニアは、今後成長が見込めるパワーエレクトロニクスやフラッシュメモリ、イメージセンサなどのデバイスやプロセスの開発に移った方も多いでしょう。

 このように、社内で他に競争力がある事業がある場合には、新しい製品に対して、今まで蓄積したスキルを生かすことも可能です。ところが、現在は、過去とは比べ物にならないほど変化が激しく、競争も激化しています。

 その結果、仕事の内容を大幅に変えることを迫られている人も、多いのではないでしょうか。例えば、デバイスのエンジニアであれば、回路設計に転向する。回路設計のエンジニアであれば、ソフトウエアに転向する。

「そんなに大幅に変わることはムリだ」
「自分はこの分野を好きだから、この仕事についたんだ」

と言われそうです。ただ、会社が生き残るためには、事業をハードウエアの製造を中心としたものから、ファブレスの回路設計やソフトウエア、サービスに変わることを必要とされています。会社が変わらなければいけない時は、個人も変わる必要に迫られているのです。

 ハードからソフト、サービスへの転換は一つの例にすぎず、今後も、技術の変化、競争の激化は続くでしょう。そんな時代に個人が生き残るためには、自分が身に付けているスキルは陳腐化する、という前提で考えた方が良いのではないでしょうか。

 スキルが常に陳腐化するのであれば、常に自分を変え、新しい分野に転向することが必要になります。しかし、技術は蓄積が必要ですから、急に分野を変われと言われても、難しい。

 でも、少しずつ積み上げることで、大きく変わることも可能ではないでしょうか。去年の自分より、今年の自分の方が、ほんの少しでもいいから、進歩することが大事だと思います。小さな進歩を、長い間積み重ねることで、大きな違いにする。

 新入社員で仕事を始めた時は、誰でも新しいスキルを身に付けるように、必死で勉強します。ところが、急成長していた人が、あるレベルまで達し、一つの分野の専門性を身につけたら、そこで止まってしまうことが、案外多いのではないでしょうか。

 というのも、社会人になってから、自ら新しい分野を勉強し続けるのは、けっこう難しいのです。大学など、現在の学校教育への批判は多々ありますが、特に理系の大学では、積み上げ式に勉強しないと進級できません。

 ぬるま湯と批判はあるでしょうが、学校では、常に勉強をし続けることが義務付けられ、強制的に毎年進歩するのです。ところが、社会人になると、明確な目標がない上に、時間の制限もありません。新しい勉強を、やるもやらないも、その人次第です。

 つまり、社会人になると、何でもできるように見えて、案外、自分を律して、学び続けるのは難しい。大きな差がつくのは、社会人になってからなのです。

 これからのワークライフバランスは、お金を稼ぐための仕事、家庭だけではありません。さらに、将来のために、新しい分野を勉強することも、バランスさせてはいかがでしょうか。

 勉強のためには、社会人大学院などを活用するのも良いでしょう。常に学び続けることで、新しい時代の変化に準備をしておき、逞しく生き残っていきましょう。

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